延命寺(えんめいじ)石殿(群馬県渋川市中村277)(文安の薬師)
内部に薬師如来を祀る石殿で、軸部四面に刻まれた尊像が美しい。室町時代前期 文安二年(1445)の紀年銘がある。
延命寺(えんめいじ)石殿 (市指定文化財、室町時代前期 文安二年 1445年、安山岩、高さ 117Cm)
門内右手に安置されている。屋根・軸部・基礎で構成し、向排部は、江戸時代に補設した。軸部四面に八体の尊像を刻み、堂内に薬師如来を安置する。 |
屋 根
屋根は寄棟造で、下部に二段の垂木型を刻み出す
軸部 正面、
壁面左右に二体の地蔵立像を薄肉彫りし、中央を長方形にくり抜く。穴からは、内部に安置された薬師坐像が見える。
本尊 薬師如来
別石で、内部に安置されている
軸部側面、四隅は柱様、上下に長押(なげし)を刻出する。壁面に、頭光を負い蓮華座上に立つ二体の地蔵立像、中央に宝瓶蓮華を薄肉に刻む。 |
軸部 両側面
軸部 背面
壁面に、頭光を負い蓮華座上に立つ釈迦と阿弥陀の両如来、中央に宝瓶蓮華を薄肉彫りする
基礎 南面
基礎は素面で、南面に「檀那住仙、文安二年(1449)夏四月八日」の刻銘がある。
向拝 部
向拝部は、江戸時代中期 元禄三年(1690)に補設された。
向拝柱部に「元禄三(1690)庚午三月吉日、奉造立施主當国住、大橋四郎兵衛尉」の刻銘がある |
上記、刻銘は「日本石造美術辞典」(東京堂出版、川勝政太郎 著)を参考にした。
尚、渋川市教育委員会の現地説明板には、基礎の檀那名を「心仙」、向拝の補設者名を「大島氏」と説明されている。
延命寺(えんめいじ)(天台宗)
*JR吾妻線 「渋川駅」下車、南東方向へ徒歩 約15分。
(撮影:平成23年10月31日)