温泉寺(おんせんじ)多宝塔(兵庫県豊岡市城崎町湯島985-2)

 城崎温泉を開いた道智上人により天平10年(738)に開創された古刹。真言宗別格本山

 温泉寺多宝塔(市指定文化財、江戸時代中期 明和四年 1767再建、桟瓦葺、一辺4.25m)


上重、四手先組物、扇垂木

下重、二手先組物、二軒繁垂木

温泉寺は、城崎温泉を開いた道智上人により、天平十年(738)に開山され聖武天皇の勅願寺となった

本尊の十一面観音(重文、天平時代)は、奈良長谷寺の観音と同じ木から、同じ作者から、作られた

多宝塔は、擬宝珠高欄を付した縁をめぐらし、中央間桟引戸、脇間連子窓、中備えは三間とも彫刻を付した蟇股


上重、扇垂木と四手先組物

上重、四手先組物と扇垂木

相輪(写真:右)は、層塔の様式を用いている。水煙はシンプルなもの。屋根は桟瓦葺

多宝塔の内部は、来迎柱があり須弥壇を設け金剛界大日如来坐像を安置する


鳥の彫刻を施した初重の蟇股

初重、二軒繁垂木

至徳二年(1385)清禅が中興開山し、正徳元年(1711)祐赴が再中興した

多宝塔の前にあった石造彫刻(僧の手には五鈷がにぎられている)

雪の多宝塔

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薬師堂(江戸時代 文化年間 1808〜1817再建、四間四方宝形造り)

本堂(重文、南北朝時代 至徳年間 1384〜1387建立)

多宝塔のそばには美しい宝筐印塔(写真:右)(重要文化財、南北朝時代)がある

*城崎温泉より城崎温泉ロープウェイ 温泉寺駅下車すぐ。城崎温泉の温泉街よりすぐ近くにあるのにもかかわらず、お参りの方は少なかった。思っていたよりひなびた大きなお寺だった。この多宝塔の撮影をもって、個人所有の屋外塔を除く江戸時代以前の塔の撮影が一応完了した。

(平成19年1月3日撮影)