行田市埋蔵文化財センター(埼玉県行田市佐間3-8-9)
武蔵型板碑の初期における本格的な板碑で、鎌倉時代中期 嘉禎二年(1236)の紀年銘がある。
佐間(さま)大日二尊種子板碑(県指定文化財、鎌倉時代中期 嘉禎二年 1236年、緑泥片岩、高さ 193Cm 下幅 64Cm)
頭部山形、下に二段の切込、輪郭線はなく古風を示す。身部は、金剛界大日、胎蔵界大日の二尊を薬研彫し、下方に願文と紀年銘を刻む |
板碑 頭部
頭部は低い山形で、下に二段の切込。身部の輪郭線はない
身部、金剛界大日・胎蔵界大日の種子を薬研彫する | 身部下方の刻銘:「嘉禎二年(1236)丙申八月」 |
身部は、上に金剛界大日如来の種子「バン」下に胎蔵界大日如来の種子「ア」を雄渾な文字で薬研彫する。時代を経てきた美しさ、というものを強く感じる。
板碑 下方
中央に「嘉禎二年(1236)丙申八月廿一日、彼岸、第六」、左右に「右為父母現当也」「左近将監敬白」と流麗な草書体で刻む
鎌倉時代中期始めの嘉禎二年(1236)八月に、両親の現在と将来の幸福を願って、左近将監により造立された。
行田市長野工業団地から出土した板碑で、南北朝時代中期 延文元年(1356)の紀年銘がある。
行田市埋蔵文化センター阿弥陀一尊種子板碑(南北朝時代中期 延文元年 1356年、緑泥片岩)
頭部山形、下に二段の切込。身部は一重線の輪郭を巻き、蓮華座上に阿弥陀種子「キリーク」を薬研彫し、下方に紀年銘と光明真言を刻む |
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込。身部は一重線の輪郭を巻く
銘文:中央に「延文元年(1356)」の紀年銘
左右に光明真言「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」を梵字で刻む
佐間(さま)二尊種子板碑(レプリカ)
二尊板碑は当初、行田市埋蔵文化センター内にある大日塚古墳の頂上に立っていた。今は、レプリカが古墳の横に立っている。
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行田市埋蔵文化財センター
*JR高崎線「行田駅」下車、北東方向へ 約4.5m。行田駅に行田市観光案内所があり、無料レンタサイクル(電動は有料)が便利に使用できる。平成22年11月に行った時は、行田資料館から、埋蔵文化財センターに移行中だったので、入場できなかった。平成23年11月に行った時は、入口にある二点しか見られなく、展示状況も良くなかった。100枚ほどの板碑を収蔵しているが、常設展示は難しそうな感じがした。(行田資料館当時は、常設展示)。火曜・土曜・日曜日の9:00~17:00に公開。
(撮影:平成22年11月20日、平成23年11月1日)