乗蔵院(じょうぞういん)(埼玉県加須市南大桑3342)
板碑は鎌倉時代中期 建長五年(1253)の在銘で、武蔵型板碑初期の特徴を持つ。この時代に、天蓋が刻まれた板碑として貴重。
乗蔵院 阿弥陀一尊種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代中期 建長五年 1253年、緑泥片岩、高さ 158Cm 下幅 47Cm)
加須はなさき浄苑、乗蔵院会館の左手奥に立つ。身部、天蓋下、蓮華座上に阿弥陀の種子、下方に往生要集出典の偈と紀年銘を刻む |
板碑 頂部
頭部は低い山形、下に二段の切込、身部は輪郭を巻かない
身部 上方の天蓋(てんがい)
阿弥陀如来の種子上部を優美な天蓋(てんがい)で飾る
武蔵型板碑(埼玉県)における天蓋の初現は建長三年(1251)で、この板碑は建長五年(1253)の紀年銘を持つ。
1250年代の板碑で天蓋のある板碑は、埼玉県で三基しかなく、天蓋初期の形を持つといえる。
身部上方、阿弥陀の種子「キリーク」を薬研彫する | 身部下方の刻銘:「建長五年(1253)癸丑八月廿九日」 |
身部下方の刻銘
身部下方中央に「建長五年(1253)癸丑八月二十九日、孝子、敬白」の紀年銘を刻み、左右に往生要集出典の偈を刻む。
加須市で最古の板碑で、種子は金粉にて荘厳されていた | 板碑、側・背面 |
身部下方、往生要集の偈(げ)
偈(げ):「極重悪人(ごくじゅうあくにん)、無他方便(むたほうべん)」「唯称念仏(ゆいしょうねんぶつ)、得生極楽(とくしょうごくらく)」
[極重悪人には他の方便(てだて)なし、ただ念仏をとなえれば、極楽に生まれることができる]
普門寺(ふもんじ)文永四年銘 種子板碑 他 石仏と石塔-目次!
乗蔵院(じょうぞういん) (真言宗智山派))
板碑は、乗蔵院会館の向かって左手奥に立っている。
*東武伊勢崎線 「花崎駅」下車 、北東方向へ 徒歩 約15分。
(撮影:平成23年11月3日)