玉洞院(ぎょくどういん)阿弥陀三尊図像板碑

 玉洞院(ぎょくどういん)(埼玉県熊谷市妻沼2404)

  高さの割に幅の広い板碑で、阿弥陀三尊を刻んでいる。

玉洞院(ぎょくどういん) 阿弥陀三尊図像板碑(鎌倉時代、緑泥片岩、高さ 180Cm 下幅 57Cm)

本堂の前に立っている。身部は、三尊が各々の光背形を彫りくぼめ、阿弥陀三尊像を半肉彫りする。下方の刻銘は磨滅して読めない。

板碑概説(服部清道 著、角川書店)によれば、下方右側に二行 観無量寿経に出る「光明遍照十方世界」の偈が判読できるという。尚、同書ではこの板碑を室町期としている。

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

板碑 頭部

頭部は低い山形、下に二条線、額部は薄く突出する。身部は、輪郭を巻かない。

身部 上方の阿弥陀三尊立像

阿弥陀如来を中心に、向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩。勢至は摩耗・剥落しており、三尊とも反花付蓮華座に立っている。

中尊 阿弥陀如来、来迎印を結ぶ。 脇侍 観音菩薩、胸前で両手を重ねる梵篋印を結ぶ。

阿弥陀三尊図像板碑 側・背面

石を切り出した鑿の痕が残っている。

 玉洞院(ぎょくどういん)阿弥陀一尊種子板碑

玉洞院(ぎょくどういん) 阿弥陀一尊種子板碑(鎌倉時代、緑泥片岩、高さ 87Cm 下幅 65Cm)

板碑は、本堂前 槇(まき)の大木の下に立っている。頭部山形、身部に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。

板碑 頭部

頭部は低い山形、下に二条線。身部は、輪郭を巻かない。

厚さ14Cmで、非常に重量感がある。頭部の二条線は側面に及ぶ 板碑 側・背面

 瑞林寺(ずいりんじ)文永八年銘 断碑                          石仏と石塔-目次!

玉洞院(ぎょくどういん)本堂 (臨済宗円覚寺派)

 板碑(いたび)

*JR熊谷駅前から朝日バス太田駅行きに乗車、「東岡バス停」下車、西方向へ徒歩 約500m。

(撮影:平成24年4月22日)