肥塚氏(こいづかし)供養 地蔵種子板碑

 肥塚氏(こいづかし)供養板碑(埼玉県熊谷市肥塚1丁目)

  成就院境外墓地の北側に二基ある板碑で、どちらも肥塚家の墓と伝える。地蔵種子を刻んだ板碑は、南北朝時代 応安八年(1375)の銘がある。

肥塚氏 供養地蔵一尊種子板碑(市指定文化財、南北朝時代中期 応安八年 1375年、緑泥片岩、高さ 135Cm 下幅 40Cm)

頭部山形、下に二条線。身部は、上方に地蔵菩薩の種子「カ」を蓮華座上に薬研彫し、下方中央に紀年銘、左右に光明真言を刻む

隣に立っている阿弥陀種子板碑から約120年後の南北朝時代の板碑で、頭部の山形は高くなり、二条線の切込は広くなる。板碑の厚さも薄くなり、身部に一重の輪郭が入る。

板碑 頂部

頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻く。

蓮華座上に地蔵菩薩の種子「カ」薬研彫する 身部下方の刻銘

身部下方の刻銘

中央に「応安八年(1375)乙卯、三月十七日、道畿、禅門」、左右に光明真言を刻む。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

光明真言を誦(じゅ)して土砂を加持し、それを遺体に散ずれば、罪障を除き西方極楽浄土に往生できるとされた。

板碑は、肥塚太郎の曽孫「肥塚八郎盛長」の墓と伝える 刻銘:「応安八年(1375)、乙卯、三月十七日

成就院墓地 阿弥陀三尊種子板碑

 成就院墓地(じょうじゅいんぼち)(埼玉県熊谷市肥塚1丁目)

  成就院境外墓地内にある小型板碑で、板碑下方を欠失する。主尊は阿弥陀三尊種子を刻み、鎌倉時代後期 正安二年(1300)の銘がある。

成就院墓地 阿弥陀三尊種子板碑(鎌倉時代後期 正安二年 1300年、緑泥片岩、高さ 77Cm 下幅 31Cm)

頭部山形、下に二条線。身部は、一重線の輪郭を巻き、上方に天蓋、その下に阿弥陀三尊の種子、下方中央に紀年銘、左右に各二行の光明真言を刻む。

阿弥陀三尊は、上に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向かって右下に観音菩薩の種子「サ」、左下に勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。

天蓋

阿弥陀種子の上に瓔珞(ようらく)のついた美しい天蓋を刻んでいる。

身部下方の刻銘

中央に「正安二年(1300)・・・・・・・・・・・・」、左右に各二行 光明真言を刻む。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

光明真言を誦(じゅ)して土砂を加持し、それを遺体に散ずれば、罪障を除き西方極楽浄土に往生できるとされた。

 茶臼塚(ちゃうすづか)阿弥陀三尊種子板碑                         石仏と石塔-目次!

成就院(じょうじゅいん)(真言宗智山派)(熊谷市肥塚2丁目6-1)

寺院の中にも墓地はあるが新しく、板碑のある境外墓地は、門前から約200m東側にある。

 板碑(いたび)

*JR熊谷駅前から朝日バス太田駅・西小泉・妻沼・妻沼聖天前行きに乗車、「肥塚報恩寺前バス停」下車、東方向へ徒歩 約8分。

(撮影:平成24年4月22日)