文知摺観音(もちずりかんのん)(安洞院)多宝塔(福島市山口字文智摺70)
信夫文知摺(しのぶもちずり)、奥の細道 芭蕉ゆかりの地
文知摺観音多宝塔(県指定文化財、江戸時代 文化九年 1812年、銅板葺、高さ 約15m)
上重、四手先組物、亀腹が銅板葺、平三斗上に回縁をめぐらす |
|
下重、三手先組物、軒は板軒で一面極彩色の彫刻 |
文知摺観音(もちずりかんのん)は文知摺石をめぐる伝説により知られている
多宝塔は、寺伝によると文化九年(1812)に安洞院八世光隆和尚が建立した
塔は高欄を付した縁をめぐらし、中央間桟唐戸、脇間明格子戸、脇間側面は板張り、
背面は三面とも板張り、中備えはなく、縁の腰組みが出組になっている
上重、垂木の所は極彩色の波模様 |
|
下重、木鼻・拳鼻は獅子頭、象頭 |
相輪(写真:右)は層塔風で請花が略され、竜車が立方体
塔の内部は来迎柱があり須弥壇を設け厨子の中に金剛界五智如来を安置する。天井は絵様を施した格天井
唐破風正面の極彩色に彩られた鳥の彫刻 |
|
銅板葺亀腹 |
塔の下重正面にはこの多宝塔でしか見られない唐破風がつけられている。
棟梁は地元旧山口村の藤原右源次と口伝され、明治十七年(1884)に屋根を板葺から銅板葺に改められた
文知摺石(鏡石)
京の巡察官、源融(みなもとのとおる)と山口長者の娘虎女(とらじょ)の悲恋物語で知られる。この「もちずり石」に源融の面影が浮かんだという
みちのくの 忍ぶもちずり 誰ゆえに
みだれそめにし 我ならなくに (河原左大臣源融)
多宝塔遺構は関東以北には少なく、東北にはこの一塔のみを残すのみ
(平成18年5月5日撮影)
*JR福島駅下車、福島交通バス お春地蔵方面行き 山口下車 徒歩 約5分。開門は午前9時からで、入場料 \400-。この日、8時前に着き待った。受付の人が8時30分ごろ見えられ、無理を言って入場させて頂いた。