吉祥寺跡(きっしょうじあと)石造宝塔

 吉祥寺跡(きっしょうじあと)石造宝塔(熊本県玉名市山田)

   塔身に多宝・釈迦の二仏を種子で刻む宝塔で、鎌倉時代中期 建長二年(1250)の紀年銘がある。

吉祥寺跡 石造宝塔(市指定文化財、鎌倉時代中期 建長二年 1250年、凝灰岩、相輪を除く高さ 150Cm)

宝塔は、山裾の開かれた場所に立つ。相輪は新補で、笠は別塔のものを載せる。塔身に法華経信仰による釈迦・多宝の二尊種子を刻む

笠は、小代山南麓の別塔を補充(現地説明板)している。別物だが、緩やかに反る形に違和感はない。

塔身は、堂々として重量感がある。前面は、線刻で二区に分け、内に法華経 見宝塔品に説く 多宝・釈迦の二仏並座を種子で表す。

塔身 首部

上端に奉籠孔が設けられる。形状は鉢形で、側面下部に二重の高欄(勾欄)を朱で描く。

塔身 前面

二区に分かち、向かって右に釈迦如来の種子「バク」、左に多宝如来の種子「アー」を蓮華座上月輪内に薬研彫する。

種子・蓮華座は朱彩され、余白は黄色で種子の朱色を浮き出させる。梵字は、法華経に説く 多宝・釈迦の二仏並座を種子で表している。

石造宝塔は、全国的によくある「虎御前」の名で呼ばれている。 塔身背面、十二行にわたる刻銘がある。

この地域は、鎌倉時代より日吉神社、その神宮寺である山田山吉祥寺及び合殿白山宮を修験道の一大道場として発展した。(現地説明板)

③へ    刻銘、     刻銘、

塔身、背面の刻銘

刻銘 「奉造立石塔、一基、夫伝聞造塔、善根者滅罪、生善宏基」、刻銘 往生極楽相、口也口藤原」

刻銘は、①から④へと連続して続く。

刻銘、     刻銘、

塔身、背面の刻銘

刻銘 「太子聖霊為、離業得道造立之、仍法界平等、利益敬白」、刻銘 「建長二年(1250)、大才、庚戌、五月十六日」

基 檀

上端は薄い一段で、背は低い。

 山田毘沙門(やまだびしゃもん)脇 石造宝塔                     石仏と石塔-目次!

山 田 神 社

石段前を向かって左側に行き、案内板に従って進めば、徒歩約4分で吉祥寺跡宝塔へたどり着く。

石造宝塔 紀年順   山田毘沙門(やまだびしゃもん)脇 石造宝塔(鎌倉時代中期)  石造宝塔-紀年順-目次

*JR 鹿児島本線 「玉名駅」下車、北北西方向へ徒歩 約39分。

(撮影:平成24年1月28日)