前山寺(ぜんさんじ)三重塔(長野県上田市前山300)

  塔は「未完成の完成の塔」と呼ばれている

前山寺(ぜんさんじ)三重塔(重要文化財、室町時代 永正十一年 1514年、こけら葺、高さ19.5m)


三層部、三手先組物、軒は二軒繁垂木

二層部、縁も高欄もなく未完成のまま

前山寺は、新義真言宗の寺で弘仁年中(810〜823年)弘法大師の創建と伝えられている

塔は擬宝珠高欄を付した縁をめぐらし、中央間桟唐戸、脇間連子窓、中備えは三間とも束のない間斗束

初層の四面には、阿シュク如来・宝生如来・阿弥陀如来・釈迦如来の額が掲げられている

初層と二層の大日如来の額で金剛界五仏を表している


二層部、三手先組物、軒は二軒繁垂木

初層、軒の反りが美しい

元弘年中(1331〜1333)に、讃岐国善通寺より長秀上人が当地に来て、正法院を現在の地に移し前山寺を開山したと伝えられる

塔の内部は四天柱がなく、折上小組格天井とし、中央に須弥壇を置く


未完の二層部

初層部、三手先組物

二・三層には、縁も高欄も窓も扉もなく「未完成の完成の塔」と呼ばれている。堂貫が外に向かって出ている

前山寺本堂(間口十間、奥行八間の木造茅葺、本尊は大日如来)

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五月、つつじが咲きほこり、塔も新緑に映えている

*平成16年5月に撮った写真を整理し掲載した(平成18年12月29日)