町田家(まちだけ)笠塔婆

 町田家(まちだけ)笠塔婆(群馬県渋川市石原1361)

   亡き父の三十三回忌に、両親の菩提を弔うため造立された笠塔婆で、南北朝時代中期 延文元年(1356)の紀年銘がある。

町田家(まちだけ)笠塔婆(重要文化財、南北朝時代中期 延文元年 1356年、安山岩、総高 220Cm)

請花・宝珠、後補で、他の五輪塔の空・風輪を載せる
渋川駅の西方 約2.5Km、町田家の前庭に立っている 基礎、四面とも無地(高さ 18Cm、方64Cm)

平面方形、軒反はほとんど無く直線的で、軒口は斜めに切る。

塔身は幅 30Cm 高さ 135Cm、四面に「五輪塔四門の梵字」を薬研彫し、下方に紀年銘・願文・光明真言・造立者名を刻んでいる。

内容から見れば、変形五輪塔といえるかも知れない。変形五輪塔には、京都府木津川市の海住山寺塔がある。

正面(涅槃門) 南面(発心門) 背面(修行門) 北面(菩提門)
「キャク・カク・ラク・バク・アク」 「キャ・カ・ラ・バ・ア」 「キャー・カー・ラー・バー・アー」 「ケン・カン・ラン・バン・アン」

塔身、五輪塔 四門の梵字(上から下)

塔身正面は、下方に「南無阿弥陀仏」と刻む。尚、町田家は、この笠塔婆を「若宮八幡」として祀っている。

南面の刻銘

南面の刻銘:「過去幽霊、慈父立円、悲母立西」

西面の刻銘 北面の刻銘:「梵文光明真言」(四行)の下、中央に「西阿」

西面の刻銘:中央に「延文元年(1356)、丙申、十一月廿七日、敬白」、左右に「過去慈父幽霊之、三十三ケ年忌辰、即身成仏、孝子等」

北面の光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

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町田家あたりから見た赤城山

 笠塔婆(かさとうば)

*JR吾妻線 「渋川駅」下車、西方向へ 約2.5Km。

(撮影:平成23年10月31日)