万福寺(まんぷくじ)宝篋印塔

 万福寺(まんぷくじ)(広島県尾道市西藤町684)

   宝篋印塔は各部の造りが優れていて、均整の取れた美しさを見せる。南北朝時代中期 貞治三年(1364)の在銘作品。

万福寺(まんぷくじ)宝篋印塔(重要美術品、南北朝時代中期 貞治三年 1364年、花崗岩、高さ 240Cm)

塔身、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(ウーン:阿閦如来)
宝篋印塔は本堂西側、墓地へと続く一段高い場所に立っている 塔身、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(タラーク:宝生如来)

段型は下二段、上六段、隅飾は二弧輪郭付でやや外傾し、内に蓮華座上の月輪を陽刻する。月輪に梵字は刻まれていない。

塔身、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(キリーク:阿弥陀如来)
塔身、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(アク:不空成就如来) 宝篋印塔は、各部の造りが優れ、メリハリのきいた美しさを見せる

基  礎

上端は複弁反花、側面三面は輪郭を巻き内に格狭間をつくる。輪郭・格狭間とも、彫りは深い。

相輪は下から 請花、九輪、請花、宝珠で、九輪の各輪間も深く彫りこむ。残念ながら、相輪最下の伏鉢を欠き、上方請花と塔身を損傷する。

基礎 西南面

側面は、この一面のみ素面で銘文を刻む。

銘文:「右志趣者為、法界有情也、貞治三年(1364)甲辰、仲春十三日、大願主貞阿、大工行真」

大工名が「行真」と刻まれ、極めて興味深い。

刻銘:貞治三年(1364)甲辰、仲春十三日」 宝篋印塔は、南北朝時代中期の作品らしく装飾性に富んでいる。

基壇と台座

基壇は切石の二段、台座は蓮弁を彫らず曲線にした繰形座。

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万福寺(まんぷくじ)本堂

本尊は阿弥陀如来坐像(市文、室町時代)、宗派は浄土真宗本願寺派

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*JR 尾道駅前より おのみちバス市内本線東行きに乗車、「今宮下バス停」下車 北方向に 約1.5Km。

(撮影:平成24年9月23日)