森(もり)九重石塔(虎御前)

 森(もり)九重石塔(兵庫県朝来市森461)

  細部に特長を持った九重石塔で、南北朝時代の作品。山裾に立っている。

森(もり)九重石塔(虎御前)(県指定文化財、南北朝時代後期、流紋岩、高さ 368Cm)

初層軸部、舟形を彫りくぼめ蓮華座上に四方仏を刻む(西面:阿弥陀如来)
民家の奥、山裾に立っている。地元では、虎御前と呼ばれている 初層軸部、舟形を彫りくぼめ蓮華座上に四方仏を刻む(北面:釈迦如来)

初層軸部の四方仏は、西面(正面)が定印の阿弥陀如来で束に「祐善禅門」、北面は釈迦如来で、束に「玄心禅尼」と刻む。

初層屋根・二層軸部 (正面)

軒は水平で、正面のみ四区に分け、中二区は斜十字文、外側二区は格狭間をつくる。また、二層軸部も正面のみに格狭間をつくる。

初層軸部、舟形を彫りくぼめ裳懸座上に薬師如来坐像を刻む(東面)
初層軸部、舟形を彫りくぼめ蓮華座上に四方仏を刻む(南面:観音菩薩) 九重石塔は、基壇上に安置され、基礎四方には香炉が置かれている

初層軸部の四方仏は、東面(背面)が薬壺を持つ薬師如来で束に「乃至法界平等益」、南面は蓮華を持つ観音菩薩で、束に「慈性禅尼」と刻む。

初層屋根・二層軸部 (側面)

屋根の上部に、低い上層軸部をつくりだす。

九重石塔は、地元では「虎御前」と呼ばれている 初層軸部正(西)面、定印阿弥陀如来坐像

九層屋根、及び相輪部

屋根は、わずかに照りむくりがある。相輪は、伏鉢を残し上部を欠失する。

初層軸部北面、釈迦如来坐像 石塔は装飾が多く、いかにも南北朝期の遺品らしい特長を持つ

基 礎 正 面

輪郭を巻き、内に飛雲を刻み、その上に月輪を陽刻し梵字「アー」を刻む。

基礎北面、格狭間内上部中央に阿弥陀の種子「キリーク」を刻む 基礎南面、格狭間内上部中央に阿閦如来の種子「ウーン」を刻む

基 礎 背 面

背面は、無地。

初層軸部東面、薬師如来坐像 初層軸部南面、観音菩薩坐像

東面の薬師如来だけが裳懸座で、他の三面の仏菩薩は蓮華座に坐している。

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森(もり)九重石塔(虎御前)(県指定文化財、南北朝時代後期)

古来より女人の信仰が篤く、今も信仰の対象となっている。

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*JR播但線「竹田駅」の南東 徒歩約10分の「和田山医療センターバス停」からアコバス(朝来市コミュニティバス)和田山・三東コースに乗車、「森バス停」下車 南東方向へ徒歩 約3分。本数が少ないため事前の確認が必要。

(撮影:平成24年6月25日)