訓谷(くんだに)五輪塔(兵庫県美方郡香美町香住区訓谷)
但馬地方の大型五輪塔で、室町時代前期 文安元年(1444)の在銘、石大工 「宗次(そうじ)」の名が刻まれている。
訓谷(くんだに)五輪塔 (県指定文化財、室町時代前期 文安元年 1444年、流紋岩、高さ 203Cm)
風・空輪、一石からなり、両輪とも整った形状で、空輪は宝珠の形 | ||
五輪塔は佐津小学校の南 約150m、山陰線の北側に立っている | 水輪、球形を上下に圧縮した様な楕円形 |
室町時代前期 文安元年(1444)の銘があり、時の長谷寺住職 慶成律師が造立した。石工「宗次(そうじ)」の名があり興味深い。
五輪塔 火輪
軒の中央は水平で、両端で反る。屋根の勾配も深い。
五輪塔 火輪
鎌倉期に比し力強さに欠け、両端の反りが、やや尖ってきている。
五輪塔の四面 各輪に 「五輪塔 四門の梵字」が刻まれている。地輪南面に刻銘があり、造立者、石大工名、紀年銘が知れる。 |
五輪塔 四門の梵字、上(空輪)から下(地輪)へ
キャ・カ・ラ・バ・ア (東方、発心門) キャー・カー・ラー・バー・アー (南方、修行門)
ケン・カン・ラン・バン・アン (西方、菩提門) キャク・カク・ラク・バク・アク (北方、涅槃門)
五輪塔南面 地輪 (梵字:「アー」)
向って右側に「勧進沙門慶成律師大工宗次」、左側に「文安元年(1444)、甲子、八月時正一結衆敬白」の刻銘がある
刻銘左側 上部:「文安元年(1444)、甲子、八月」 | 刻銘左側 下部:「時正一結衆敬白」 |
刻銘は浅い線刻で、向って左側が肉眼でも読み取れる。
五輪塔西面 地輪 (梵字:「アン」)
地輪は、やや高く造立の時代を反映している。地輪の梵字は、正面(西面) 「アン」から時計回りに
「アン(無量寿)」・「アク(天鼓雷音)」・「ア(宝幢)」・「アー(開敷華王)」で、胎蔵界四仏の種子になる。
基 壇
基壇は、二段の切石からなっている
訓谷(くんだに)五輪塔 (県指定文化財、室町時代前期 )
五輪塔は集落の南端で道路の東側、一段高くなった場所に安置されている。
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*JR山陰本線 「佐津駅」下車 東方向へ徒歩 約9分。
(撮影:平成24年6月27日)