蓮花寺(れんげじ)多宝塔(摂津)(三田市下槻瀬678)

  法道上人により開創されたと伝えられる真言宗大覚寺派の寺院

蓮花寺多宝塔(県指定文化財、江戸時代 文化九年 1812年、桧皮葺・下重一部桟瓦葺、高さ約13m)


上重、四手先組物、軒は扇垂木

下重、軒は二軒繁垂木、組物は二手先

蓮花寺は奈良時代に法道上人により開かれたと伝えられる

塔は高欄のない縁をめぐらし、中央間桟唐戸、脇間花頭窓、中備えは三間とも蟇股

両側面は中央間引違戸、脇間板張り、中備えは中央間蟇股、脇間間斗束、背面は三間とも板張り、中備えは側面と同じ


上重、扇垂木が美しい

上重の回縁と下重、桧皮葺屋根

棟札によれば江戸時代 文化九年(1812)に鴻池組によって建設された

塔の内部は、四天柱・来迎壁がなく須弥壇を設け釈迦如来坐像と一願成就仏を安置する

一願成就仏は、源頼光が「大江山の鬼退治」におもむくにおりにこの地に立ち寄り、武運を一心に願い、一願が成就したことによる


下重、中備えの蟇股

下重、二手先組物

法道上人により開山されたと伝える蓮花寺は、孝徳天皇の代に多田源氏の帰依を受け隆盛した

蓮花寺山門(県指定文化財、三間一戸二層)

山門は室町末に焼失、豊臣秀頼の寄進により再建された。昭和63年の修理にあたり、創建時は二層の楼門であったことが確認され原形に復元された

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蓮花寺中興の祖は慈心坊尊恵といい、比叡山に学び清荒神清澄寺の住持となり、「平家物語」の「冥土蘇生記」の主人公

蓮花寺には、塔の設計図板が二枚残っている。一枚は屋根組み、もう一枚は正面図で共に10分の1の縮尺

*JR三田駅から神姫バス、木器(こうづき)下車 徒歩約5分。ここは携帯電話が通じなかった。塔の花頭窓がガラス張りなのが気になった。

(平成17年12月24日撮影)