稲葉崎(いなばさき)阿弥陀三尊種子板碑

 稲葉崎(いなばさき)阿弥陀三尊種子板碑(鹿児島県姶良郡湧水町稲葉崎)

  黄金塔の前の通路を向かって右側に突き当った所に南向きに立っている。南北朝時代前期 暦応三年(1340)の銘がある。

稲葉崎 阿弥陀三尊種子板碑 (県指定史跡、南北朝時代前期 暦応三年 1340年、凝灰岩、高さ 196Cm 下幅 42Cm)

大型の板碑で、額部に金・胎 両部大日の種子、身部上方に阿弥陀三尊の種子を薬研彫し、身部下方に紀年銘を刻む。

身部側面は、前方の面が上下に比べ中央部を抉り、ゆるい弓型になっている。

板碑 頂部

頭部山形、下に二段の切込、額部は向かって左側に金剛界大日の種子「バン」、右側に胎蔵界大日の種子「アク」を刻む。

種子「アク」は、金剛界大日如来の意もある。「アク」は不空成就如来・天鼓雷音如来の金・胎 四方仏の種子として馴染が深い。

身部上方に刻まれた、阿弥陀三尊の種子 身部下方は、暦応三年(1340)の紀年銘のみを刻む。

身部上方に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向かって右下に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻み阿弥陀三尊とする。

身部下方の刻銘:「干旹暦応三年(1340)、歳次、庚辰、八月廿五日と刻む。

刻銘:「干旹暦応三年(1340)、歳次、庚辰、八月廿五日 刻銘:「暦応三年(1340)

稲葉崎(いなばさき)阿弥陀一尊種子板碑

 黄金塔の向かって右側手前に立つ板碑で、南向きに立っている。種子以外の刻銘はない。

稲葉崎(いなばさき)阿弥陀一尊種子板碑(県指定史跡、南北朝時代、凝灰岩、高さ 165Cm 下幅 32Cm)

頭部山形及び額部の前面を損傷する。身部上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。身部下方は素面で何も刻まれていない

板碑 頂部側面

頭部山形で前面を損傷、二段の切込は側面部に残っている。額部は、縦に長く薄く突出する。

身部上方、阿弥陀如来の種子「キリーク」

 稲葉崎(いなばさき)暦応二年銘 角塔婆                      石仏と石塔-目次!

稲葉崎(いなばさき)板碑群 (県指定史跡、南北朝時代前期、凝灰岩)

黄金塔に向かって右の板碑群が 810五輪塔群の通路奥に11の阿弥陀三尊種子板碑、

右方板碑群の手前に12の阿弥陀一尊種子板碑が立つ。10、11、12の板碑は、南向きに立っている。

 板碑(いたび)

*JR肥薩線 栗野駅前から南国交通バス 鹿児島空港行きに乗車、「稲葉崎上バス停」下車、北方向へ 徒歩 約3分。または、ふるさとバス(轟方面)に乗車「稲葉崎上バス停」下車。轟(とどろき)簡易郵便局の北側の山あたりが稲葉崎供養塔群。

(撮影:平成24年1月25日)