居神神社(いがみじんじゃ)(神奈川県小田原市城山4-23-29)
毎月二十四日 地蔵菩薩の縁日を定例日とした念仏衆らの人達により、鎌倉時代後期 文保元年(1317)十二月二十四日(地蔵の縁日)に造立された。
居神神社大日種子自然石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期 文保元年 1317年、安山岩、高さ 140Cm)
居神神社本殿 西側奥に立っている古塔群の一基。自然石の表面を平らにし、上方に金剛界大日如来の種子、下方に銘文を刻む。 |
石塔婆 頭部
頭部は水平で、二条線は刻まない。
身部上方、金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。 | 身部下方、法華経方便品の偈、下方に願文・紀年銘を刻む。 |
主尊は金剛界大日如来、偈(げ)は法華経、しかも地蔵菩薩の縁日(二十四日)に結衆する念仏衆達に拠る造立で、天台浄土教の背景があるという。
法華経 方便品に出る偈(げ)
偈(げ):「十方仏土中(じっぽうぶつどちゅう)唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)無二亦無三(むにやくむさん) 除仏方便説(じょぶつほうべんせつ)」
[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし。仏の方便の説を除く ]
石塔婆 下方の刻銘
左右に「右志者、毎月廿四日一衆等、衆子等」、「念仏衆等、利益也、敬白」、中央に「文保元年(1317)十二月廿四日」と刻む。
毎月二十四日 地蔵菩薩の縁日を定例日として仏事を営む念仏衆らが、各々の利益を願って鎌倉時代後期 文保元年(1317)十二月二十四日に造立した。
石塔婆の石材は、地元産の根府川石(輝石安山岩)で作られている。 | 刻銘:「文保元年(1317)十二月廿四日」 |
根府川石(輝石安山岩)で作られた石塔婆(板碑)を「小田原式」又は「根府川式」と呼び、他の相模型板碑と区別することもある。
居神(いがみ)神社境内の古碑群 (市指定文化財、鎌倉時代後期 )
向って左側の元亨二年(1322)銘石塔婆、五輪塔を刻んだ三基の小さな石塔婆の計五基が市の文化財に指定されている。
居 神 神 社 拝 殿
拝殿に向かって左側、奥に古塔群は立っている。
*JR東海道本線小田原駅から箱根登山線 箱根湯本行きに乗車、「箱根板橋駅」下車、北東方向へ徒歩 約5分。
(撮影:平成24年11月6日)