大慈寺(だいじじ)九重石塔

 大慈寺(だいじじ)(熊本県熊本市野田1-7-1)

  昭和初年まで山門の外に立っていた石塔で、鎌倉時代後期 永仁五年(1297)の銘がある。

大慈寺九重石塔(県指定文化財、鎌倉時代後期 永仁五年 1297年、凝灰岩、高さ 約320Cm)

軸部西面、輪郭を巻き、中央に位牌形を作り「如法書写妙法之塔」と刻む
大慈寺開山、寒厳禅師廟所の手前に二基立つ右側の石塔 初層北面、輪郭を巻き、中央に位牌形を作り「南無妙法蓮華経塔」と刻む

初層軸部は輪郭を巻き、内部中央に位牌形を陽刻し、東・西面は「如法書写妙法之塔」、南・北面は「南無妙法蓮華経塔」と陰刻する。北面の輪郭部に刻銘がある。

初層・二層 屋根

軒は緩く反り、軒下に垂木型はつくらない。各層屋根の上部に、上層の軸部をつくりだす形式。

軸部東面、輪郭を巻き、中央に位牌形を作り「如法書写妙法之塔」と刻む
初層南面、輪郭を巻き、中央に位牌形を作り「南無妙法蓮華経塔」と刻む 相輪を欠失し、七・八・九層の屋根は、後補と思われる

基 礎

当初のものを欠失し、自然石と切石の二枚で補う。

初層軸部、東面中央の位牌形 初層軸部、南面中央の位牌形

位牌形の蓮華座上に、東・西面は「如法書写妙法之塔」、南・北面は「南無妙法蓮華経塔」と陰刻する。

初層軸部は、空洞になっており、書き写された法華経が納入されていたものと思われる。

初層軸部北面、左側の刻銘 初層軸部北面、右側の刻銘
「大願主 尼成阿建之」 「永仁五年(1297)、丁酉、閨十月十八日」

基 壇

新しい石積の基壇

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大慈寺 山門 (江戸時代中期 享保五年 1720年、昭和55年修復)

門横左右に石造仁王像、二階に十六羅漢を安置する。

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*JR鹿児島本線 「川尻駅」下車、南東方向へ徒歩 約26分。

(撮影:平成24年1月26日)