西安寺(さいあんじ)五輪塔群(熊本県玉名郡玉東町西安寺)
正応元年(1288)塔と同じ造立者(相良三郎左衛門)が、十六年後の嘉元二年(1304)建てた五輪塔。
西安寺五輪塔 一号塔 (県指定文化財、鎌倉時代後期 嘉元二年 1304年、凝灰岩、高さ 162Cm)
風・空輪、両輪とも形良く、一石からなる | ||
六基立つ五輪塔群の中で、向かって右端の五輪塔 | 水輪、主要三基は時代が下るに従って、より球形に近づいてくる |
五輪塔は、各輪に月輪を線刻し、内に四門の梵字を薬研彫する。二号塔、三号塔、この一号塔へと時代が下るにつれ、形状が整ってくるが、力強さが弱まってくる。
火 輪
軒口やや厚く、両端に向かって力強く反り、軒下は厚い。また、降棟が二・三号塔に比べ深くなっている。
四門の梵字は、正面が 「キャ・カ・ラ・バ・ア」で、東方 発心門。また、梵字やそれを囲む月輪の彫りが、二・三号塔に比べ弱くなっている |
五輪塔 四門の梵字、上(空輪)から下(地輪)へ
「キャ・カ・ラ・バ・ア」 (東方、発心門) 「キャー・カー・ラー・バー・アー」 (南方、修行門)
「ケン・カン・ラン・バン・アン」 (西方、菩提門) 「キャク・カク・ラク・バク・アク」 (北方、涅槃門)
地 輪 西 面 (梵字 「アン」)
地輪は頂部中央がわずかに膨らみ水切りになっている。北面 「アク」の梵字両側に刻銘がある。
地輪 北面、向かって左側の刻銘 | 地輪 北面、向かって右側の刻銘 |
地輪、北面 (「アク面」)の刻銘
右側の刻銘:「奉造立、五輪塔婆一基、嘉元二年(1304)、甲辰、八月 日」
左側の刻銘:「当寺大檀那、遠江国住人、相良三郎左衛門、入道浄位」
刻銘は、③の正応元年(1288)塔とほぼ同じで、造立者も同じ 遠江住人 相良三郎左衛門。正応元年塔から16年の歳月を経て同一人により造立されている。
西安寺 五輪塔群
五輪塔群は向かって右から一号塔~六号塔。切石の基壇上に安置され、一・三号塔は更に一段、二号塔は二段積上げられている
②は正嘉元年(1257)銘、③は正応元年(1288)銘、④は文中二年(1373)銘、⑥は嘉元二年(1304)銘
西安寺(さいあんじ) 五輪塔群 (県指定文化財、鎌倉時代)
手前から奥へ、一号塔~六号塔。基壇を切石で囲い、内に小石を敷き詰め、その上に安置する。
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*JR 鹿児島本線「田原坂駅」下車、南西方向へ 約2Km。白山宮の石鳥居をくぐり、拝殿の前を左手に行くと、奥にこの五輪塔群が立っている。
(撮影:平成24年1月27日)