西安寺(さいあんじ)五輪塔群(熊本県玉名郡玉東町西安寺)
西安寺五輪塔群中、二番目に古い鎌倉時代後期 正応元年(1288)の銘がある。
西安寺五輪塔 三号塔 (県指定文化財、鎌倉時代後期 正応元年 1288年、凝灰岩、高さ 152Cm)
風・空輪、両輪とも形良く、一石からなる | ||
六基立つ五輪塔群の中で、向かって右から三番目の五輪塔 | 水輪、角ばった球形 |
五輪塔は、各輪に月輪を線刻し、内に四門の梵字を薬研彫する。各々の梵字は、力強く美しい。
火 輪
軒口やや厚く、両端に向かって力強く反る。
四門の梵字は、正嘉元年塔と同様、正面が 「キャ・カ・ラ・バ・ア」で、発心門となっている。正嘉元年塔に比べ、重量感や躍動感に欠ける |
五輪塔 四門の梵字、上(空輪)から下(地輪)へ
「キャ・カ・ラ・バ・ア」 (東方、発心門) 「キャー・カー・ラー・バー・アー」 (南方、修行門)
「ケン・カン・ラン・バン・アン」 (西方、菩提門) 「キャク・カク・ラク・バク・アク」 (北方、涅槃門)
地 輪 西 面
地輪は頂部中央がわずかに膨らみ水切りになっている。西面の梵字両側に刻銘がある。
刻銘全文 :「奉造立、五輪率都婆一基、正応元年(1288)、歳次、戊子、七月 日」
「当寺大檀那、遠江国住人、相良三郎左衛門、入道浄位」
地輪、向かって左側の刻銘 | 地輪、向かって右側の刻銘 |
右側の刻銘:「奉造立、五輪率都婆一基、正応元年(1288)、歳次、戊子、七月 日」
左側の刻銘:「当寺大檀那、遠江国住人、相良三郎左衛門、入道浄位」
形状、刻銘とも②の正嘉元年(1257)塔を手本に建立されたと思われる。
西安寺 五輪塔群
五輪塔群は向かって右から一号塔~六号塔。切石の基壇上に安置され、一・三号塔は更に一段、二号塔は二段積上げられている
①は嘉元二年(1304)銘、②は正嘉元年(1257)銘、④は文中二年(1373)銘、⑥は嘉元二年(1304)銘
白山宮 拝殿
延応元年(1239)北条時頼が諸国巡回時に病気になり、白山宮での祈願により全快したという。
その為、時頼は山北相良氏の祖 相良頼平(よりひら)に命じて西安寺が建立されたという。
白 山 宮
石鳥居をくぐり、拝殿の前を左手に行くと、奥に五輪塔が立っている。
五輪塔紀年順 | 丈六寺(じょうろくじ)五輪塔(鎌倉時代後期) | 五輪塔-紀年順-目次 |
*JR 鹿児島本線「田原坂駅」下車、南西方向へ 約2Km。白山宮の石鳥居をくぐり、拝殿の前を左手に行くと、奥にこの五輪塔群が立っている。
(撮影:平成24年1月27日)