慈尊寺(じそんじ)(三重県伊賀市白樫1530)
鎌倉時代後期 元亨元年(1321)の造立になる板碑で、長文の銘文が刻まれている。この種の板碑は、近畿地方では数が少なく珍しい。
慈尊寺(じそんじ)阿弥陀種子板碑(県指定文化財、鎌倉時代後期 元亨元年 1321年、安山岩、高さ 134Cm 幅 43Cm)
頭部山形、下に二条の切込、額部は薄く突出。身部上方に、蓮華座と月輪を線刻し、内に阿弥陀の種子「キリーク」、下方に銘文を刻む |
板碑 頭部
頭部山形、下に二条の切込。額部は薄く突出する。
身部 下方の銘文
尼妙阿の三回忌に、その子息たちが、法華経書写の一字一石と般若心経を一字一石に写して埋納し、八万四千塔供養を行った。
銘文:「右相当、悲母尼妙阿、第三年忌辰、書写一石一面一字妙典一部、十口心経一字一口、
八万四千口石塔造立口口、専祈得脱、乃至法界平等利益矣、元亨元(1321)辛酉十二月八日、教子口敬白」
身部上方の種子
蓮華座と月輪を線刻し、内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する
三重県内の板碑中、最古最大で、珍しい長文の銘文が刻まれている。正面は整形されているが、側面・背面は荒仕上げで厚さもある |
板碑は境内西端、覆屋の中に安置されている
慈尊寺(じそんじ) (真言宗豊山派)
*伊賀鉄道「上野市駅前」(上野産業会館バス停)から三重交通バス 桃香野口行きに乗車、「白樫バス停」下車 北東方向へ 約250m。バスは本数が少なく、距離はあるが伊賀鉄道「茅町(かやまち)駅」で無料レンタサイクルを借りるのが便利。
(撮影:平成23年4月21日)