正暦寺(しょうりゃくじ)宝篋印塔 東塔

 正暦寺(しょうりゃくじ)(奈良県奈良市菩提山町157)

   宝篋印塔は、塔身の上下が蓮弁式の珍しいもので、鎌倉時代後期の洗練された様式を持つ作品。

正暦寺(しょうりゃくじ)宝篋印塔 東塔 (鎌倉時代後期、花崗岩、相輪を除く高さ 124Cm)

塔身正面、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(宝生:タラーク)
本堂前、石段の右手、石造物が集められている最上段 東側に立つ 塔身西面、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(阿弥陀:キリーク)

塔身は各面、輪郭を巻き、金剛界四仏の種子を蓮華座上月輪内に薬研彫する。[ 南面:宝生如来、西面:阿弥陀如来、北面:不空成就如来、東面:阿閦(あしゅく)如来 ]

下端は単弁の蓮弁、上方は六段、隅飾は二弧輪郭付で内に蓮華座上月輪を陽刻し、月輪に八方天の種子を陰刻する。

塔身北面、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(不空成就:アク)
塔身東面、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(阿閦:ウーン) 装飾的な宝篋印塔で、塔身を挟む上下が蓮弁になっている

塔身上下蓮弁式の宝篋印塔は数も少なく、代表的なものに観音院宝篋印塔(奈良県高取町)円福寺宝篋印塔 南塔(奈良県生駒市)真照寺宝篋印塔(滋賀県愛荘町)

法方寺宝篋印塔(兵庫県朝来市)がある。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

基 礎

基礎はやや背が高く、上端は複弁反花(かえりばな)、側面は四面とも輪郭を巻き内に格狭間をつくる。

相輪は本来のものでなく、下から伏鉢・請花・九輪で、九輪は七輪を残し上部を欠く。

反 花 座

上端は複弁反花、側面は三区に分かち、各々格狭間をつくる。

笠の隅飾りは、二弧輪郭付で外線をやや反らし、内に蓮華座上月輪を陽刻する。月輪には、方角を表す八方天の梵字を刻んでいる。

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正暦寺 本堂下石塔群

最上部に三基の宝篋印塔、左右に宝篋印塔を刻んだ板碑群が安置されている。

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*JR・近鉄奈良駅より奈良交通バス 米谷町行きに乗車、「柳茶屋バス停」下車 東方向へ徒歩 約30分。

(撮影:平成19年12月31日、平成24年9月5日)