保月三尊板碑(ほづきさんぞんいたび)〔岡山県高梁市有漢(うかん)町上有漢〕
中央の石大工で、伊派に属する名工 井野行恒(いのゆきつね)がこの地に招かれて造った板碑で、鎌倉時代後期 嘉元三年(1305)の銘がある。
保月(ほづき)三尊板碑(重要文化財、鎌倉時代後期 嘉元三年 1305年、花崗岩、高さ 315Cm)
頭部山形、下に二段の切込、額部は突出する。身部上方は、蓮華座上に坐す三尊像を三段に半肉彫りする。身部下方は、銘文を刻む |
板碑は花崗岩製で、高さ 315Cm、幅 43Cm、厚さ 29Cm
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込、額部は浅く突出する。(正面のみ)
板碑 額部
額部の表面左右に日月を表す月輪を薄く彫出する。
身部上方は、二重円光式の彫りくぼめの中に釈迦如来坐像、定印の阿弥陀如来坐像、持錫の地蔵坐像を線刻の蓮華座上に半肉彫りする |
身部 下方の刻銘
刻銘は上段に、「大悲空智教」の一節、「心王念法(しんおうねんぽう)、不可破壊(ふかはえ)」を刻む
【大日如来(心王)の念ずる法は、壊れるということがない】
刻銘 全文 | 刻銘:「嘉元三秊(1305)乙巳十一月十三日」 |
刻銘全文:「心王念法、不可破壊」、「嘉元三秊(1305)乙巳十一月十三日」、「大願主漆真時、一結衆二十八人敬白、大工井野行恒」
釈迦如来坐像(三尊上部)
二重円光式の彫りくぼめの中、蓮華座上に坐し、右手施無畏・左手与願印の釈迦如来を半肉彫りにする。
刻銘:「大工井野行恒」 | 刻銘:「一結衆二十八人敬白」 |
さらに向かって右側に「大願主漆真時」と刻まれている。尚、刻銘の下方は、土に埋まっている。
阿弥陀如来坐像(三尊の中間)
二重円光式の彫りくぼめの中、蓮華座上に坐し、定印を結ぶ 阿弥陀如来を半肉彫りにする。
地蔵菩薩坐像(三尊 下部)
二重円光式の彫りくぼめの中、蓮華座上に坐し、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ地蔵菩薩を半肉彫りにする。
保月(ほづき)三尊板碑 (重要文化財)
中央の石大工で、伊派に属する名工 井野行恒(いのゆきつね)がこの地に招かれて造った板碑で、重厚感があり大変美しい
保月(ほづき)三尊板碑 (重要文化財)
板碑は、かなり傾いて立っている。
*JR高梁駅前のバスセンターより備北バス 川関行きに乗車、「川関口バス停」下車 東方向へ徒歩 約23分。
(撮影:平成23年9月12日、平成19年8月14日)