早尾原(はやおばる)八面石幢

 早尾原(はやおばる)八面石幢(大分県豊後大野市朝地町上尾塚字早尾原)

   幢身の八面を完形な板碑形とする石幢で、南北朝時代初期 暦応二年(1339)の紀年銘がある。

早尾原(はやおばる)八面石幢(県指定文化財、南北朝時代前期 暦応二年 1339年、凝灰岩、総高 228Cm

自然石の基壇上に、背の低い基礎を置き、その上に八角柱の幢身を立てる。幢身は、八面とも板碑形で、身部上方に種子を薬研彫する。

幢身正面、金剛界大日如来の種子「バン」の下に「浄土三部経一石一字」の文字を刻む。実際、平成十二年の調査で、基壇下から一字一石経が発見されている。

露盤と宝珠

一石で作る。後補と思われる。

幢身八面の板碑形は八面とも、頭部山形、二条の切込、額部と根部は突出する。背面、阿弥陀如来の種子「キリーク」の面に銘文を刻む

背面の銘文:「一奉読誦法華経三十三部、口口光明真言万三千、一奉書写法華経七部」「暦応貳(1339)己卯三廿三」

方形の笠で、軒反(のきぞり)は時代が下がる。本来は、八角形の笠が載っていたと思われる。

④.宝処菩薩「ジャン」 ③.多聞天「バイ」 ②.地蔵「イー」 ①.金剛界大日「バン」

幢身、八面の種子(正面:種子の下に「浄土三部経一石一字」の刻銘)

正面から時計回りに①.金剛界大日の種子:「バン」、②.地蔵菩薩の種子:「イー」、③.多聞天の種子:「バイ」、④.宝処菩薩の種子:「ジャン」

基礎と基壇

方形の自然石の基壇上に、背の低い四角の基礎を据える。

平成12年(2000)の調査で、基壇下から発見された一字一石経は、多数の小石に一字ずつ墨や朱で経文が書かれ、埋められていた。

⑤.弥陀「キリーク」 ⑥.釈迦「バク」 ⑦.阿閦「ウーン」 ⑧.薬師「バイ」

幢身、八面の種子(背面:⑤.阿弥陀の種子と銘文を刻む)

背面から時計回りに⑤.阿弥陀の種子:「キリーク」、⑥.釈迦の種子:「バク」、⑦.阿閦の種子:「ウーン」、⑧.薬師の種子:「バイ」

 三反畑(さんたんばたけ)(上自在)種子板碑                   石仏と石塔-目次!

早尾原(はやおばる)八面石幢(県指定文化財、南北朝時代前期

板碑形の幢身が目を引く。上部に宝珠と笠を載せ、笠塔婆ともいえる。

 石 幢 (せきどう)

*普光寺から用作(ゆうじゃく)公園の方へ約900m 位戻った所に小さな案内板が立っていて、そこから奥へ約200m入った処にこの石幢が立っている。JR豊肥本線「朝地駅」から南西方向に約3Km。

(撮影:平成23年3月11日)