羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)(大分県別府市野田1組1)
社殿を挟んで東・西両側に五輪塔群があり、その西側群に属する。前列、向かって右端の五輪塔に鎌倉時代後期 嘉元四年(1306)の紀年銘がある。
羽室御霊社五輪塔(向かって右端)(県指定文化財、鎌倉時代後期 嘉元四年 1306年、安山岩、高さ 209Cm)
風・空輪、一石からなり両輪の間に溝状の線を彫る | ||
西側五輪塔群(三基は県重文)の前列、向かって右端の五輪塔 | 火輪、勾配緩く、軒反は両端で反る。軒口は、やや斜めに切られている |
水 輪
中央部のカーブが緩い球形で、四面に金剛界四仏の種子を薬研彫する。(正面が「ウーン:阿閦如来」)
火輪と風・空輪は別物。羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)の五輪塔群は、この地を治めていた竈門(かまど)氏の墓地と考えられている |
地 輪
地輪の背は高く、正面に「嘉元四年(1306)丙午正月廿一日、沙弥道善、逝去、晨尅」の刻銘がある。
「道善」は、鎌倉時代後期に当地を治めていた竈門(かまど)本庄の地頭 竈門次郎直次の法名
羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)(大分県別府市野田1組1)
西側群に属する石塔で、後列の向かって左端に安置されている。
羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)石造宝塔(南北朝時代、安山岩、高さ 120Cm)
笠、軒反は緩やかで、上端に露盤、軒下に一重の垂木型を刻出する | ||
銘文は刻まれていない。相輪は五輪で簡略化されている | 塔身、上端に一段の首部を作り出す。側面は無地。 |
基礎・台座
台座は一石の切石。基礎は、上端二段、側面は四面とも無地
羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)五輪塔(西群、前列左端)
羽室御霊社(はむろごりょうしゃ)五輪塔(西群、前列左端)
台座が一石の切石。水輪に首部があり、石造宝塔の塔身を流用する
羽室御霊社 (はむろごりょうしゃ)
中世に当地を治めていた竈門(かまど)氏の廟所で、御霊社の名で呼ばれる
江戸時代中期 享保年間に、虫害(イナゴ・うんか)が猛威をふるった。その原因が竈門(かまど)氏一族の怨霊の為と信じられ、
その折伏(しゃくふく)に当地に縁のある源為朝の霊を勧請し、竈門氏一族の怨霊を鎮めようと御霊社を建立した。御霊社の祭神は源為朝。
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*JR日豊本線「亀川駅」下車、南西方向へ 約40分。
(撮影:平成23年3月14日)