富貴寺 仁治四年銘 阿弥陀三尊種子笠塔婆

 富貴寺(ふきじ)[大分県豊後高田市田染(たしぶ)蕗2395]

   富貴寺大堂(国宝)西側に四基の笠塔婆が並列して立ち、その中で一番背の高い笠塔婆。鎌倉時代中期 仁治四年(1243)の銘がある。

富貴寺(ふきじ)阿弥陀三尊種子笠塔婆(県指定文化財、鎌倉時代中期 仁治四年 1243年、安山岩、高さ 190Cm)

富貴寺大堂の西側に立つ四基の内、向かって左端の笠塔婆。塔身が方形で、上端に枘(ほぞ)がある。宝珠・笠は別物を載せる。

宝珠・笠

宝珠・笠は、塔身に比し小さく別物

塔身上方、阿弥陀三尊種子

上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向かって右下に観音菩薩の種子「サ」、左下に勢至菩薩の種子「サク」を平底彫りし、阿弥陀三尊とする

塔身正面、下方に銘文を刻む 背面は荒く自然石のまま、他の三面は表面を整形、刻銘を刻む

塔身正面の銘文:「造立者 阿仏房広増」「仁治四年(1243)卯月廿五日」「右為志者極楽往生」

笠塔婆には、「造立者 広増」の名が刻まれている。富貴寺にある五基の笠塔婆は、全て広増の名が造立者として刻まれている。

塔身下部

下部が突出し、板碑の様な形をしている

塔身北面、上方の三尊種子 塔身北面、下方の刻銘

塔身 北面

上方に、「バク(釈迦)・口・口」の梵字三尊を刻み、下方に「實阿弥陀仏」と刻む。口口は、普賢・文殊とみられ釈迦三尊を構成する。

塔身南面、上方の三尊種子 塔身南面、下方の刻銘

塔身 南面

上方に、「バン(金剛界大日)・口・口」の梵字三尊を刻み、下方に「長円」と刻む。口口は、不明。

 富貴寺(ふきじ)不動種子笠塔婆                         石仏と石塔-目次!

富貴寺(ふきじ)大堂の西横に立つ四基の笠塔婆

鎌倉時代中期 仁治四年(1243)から文永五年(1268)に造立された

 笠塔婆(かさとうば)

*かっては宇佐駅からの便があったが、今は廃線になっている。公共交通としては、JR大分駅前・別府駅前・宇佐駅前(同じバス)から大分交通バスの「国東半島史跡めぐり」という定期観光バスの便があるが、1日コースのツアーになり自由に時間をとれない。少し距離はあるが 頑張って、宇佐神宮前の「宇佐観光協会」で電動レンタサイクルを借りて回るという手もある。

(撮影:平成23年3月16日)