犬飼石仏(いぬかいせきぶつ)(大分県豊後大野市犬飼町田原 渡無瀬)
不動堂の内にある磨崖仏で、中尊に不動明王坐像、脇侍に制叱迦(せいたか)、矜羯羅(こんがら)の二童子を刻む。
犬飼(いぬかい)磨崖仏 (国史跡、鎌倉時代前期、凝灰岩、中尊高さ 376Cm 脇侍高さ 約170Cm)
中尊、岩座上に結跏趺坐し、右手に三鈷の剣、左手に羂索を持つ不動明王を厚肉彫りする。豊かな体躯に比し、両腕は細身に彫られている |
この磨崖仏のある犬飼町は、古代から中世にかけて井田郷と呼ばれ、国司が政務を執った国衙(こくが)領で、大野川河川交通の要衝地であった。
不動明王は、左目を墨で一線書きした半眼で、巻髪を弁髪に束ねて左肩に垂らす。お顔は、厳しさがなく温和な表情をしている。 |
不動明王坐像 下部
岩座上に結跏趺坐する。両足裏とも、正面を向いて興味深い。
制叱迦(せいたか)童子(高さ 173Cm)、金剛棒を持つ | 矜羯羅(こんがら)童子(高さ 170Cm)、合掌する |
犬飼(いぬかい)不動三尊磨崖仏
不動明王に比し、矜羯羅・制叱迦の両童子は、高さが半分以下で小さく彫られている
制叱迦童子と不動明王の間に、板碑形が刻まれている | 矜羯羅童子の向かって右側、月輪内に胎蔵界大日の種子「ア」を刻む |
板碑形は、頭部山形、身部は薄く彫り下げ 胎蔵界大日の種子「ア」、その下に「花清妙法禅定」と刻み、その下 蓮華座上に「厄」と刻む
不動堂横に刻まれた宝塔と板碑
宝塔は高さ 131Cm、国東型の火焔宝珠がある相輪、笠、塔身、基礎と周りを薄く彫り 薄肉彫りの様に刻まれている。
板碑は高さ 114Cm、一部不動堂に隠れる。頭部山形、身部上方に阿弥陀の種子「キリーク」、下に「宗口禅定門」の文字、下部に蓮華座を刻む。
犬飼(いぬかい)不動堂
不動堂上方の岩壁に「龍伝山(りゅうでんせん)」、右側の岩壁に「南無大師遍照金剛」と大きく刻む(江戸初期 慶長年間の作)
*JR豊肥本線「犬飼駅」下車、南方向へ 約3Km。
(撮影:平成23年3月12日)