熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)

 熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)(大分県豊後高田市田染平野字登沢)

  熊野修験道との関わりから生まれた磨崖仏で、「六郷山諸勤行等注進目録」や「華頂要略」の安貞二年(1228)の項目に「大日岩屋」「不動岩屋」と記されている。

熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ) (国指定史跡、重要文化財、平安時代後期、凝灰岩、 不動明王像 高さ 807Cm、大日如来像 高さ 682Cm)

  熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)不動明王像

熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)不動明王像 (国史跡、重要文化財、平安時代後期、凝灰岩、高さ 807Cm)

向かって左側の磨崖仏で、荒石混じりの凝灰角礫岩の岩壁に、右手に利剣を持った不動明王像を半肉彫する。我国、最大の磨崖仏といわれる

不動明王 顔部

お顔は、憤怒相でなく、柔和な慈悲相であり、厳かな雰囲気を持っている

突出した両眼球は左目半眼 右目は開く、鼻翼は広く、口は牙をもって唇をかみ、弁髪はねじれて胸のあたりまで垂れている

不動明王は、矜羯羅(こんがら)・制叱迦(せいたか)の両童子を従えた不動三尊として知られるが、大日三尊の脇侍でもある。

  熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)大日如来像

熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)大日如来像 (国史跡、重要文化財、平安時代後期、凝灰岩、高さ 682Cm)

向かって右側の如来像で、大日如来と呼ばれている。頭部はよく残り、胸から下はくずれて印相も不明。不動明王よりも古い造顕になる

大日如来 顔部

背面に円光背を刻出し、頭部は大粒の螺髪(らほつ)がよく残り、表情も穏やか

頭部上方中央に、愛染明王を中心とする理趣教(りしゅきょう)曼荼羅、左右に金剛界・胎蔵界の両界曼荼羅、計三面が配されている

大日如来 頭部上方の種子曼荼羅 三面

 熊野(くまの)磨崖 種子曼荼羅                        石仏と石塔-目次!

熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ) (国指定史跡、重要文化財、平安時代後期、凝灰岩、 不動明王像 高さ 807Cm、大日如来像 高さ 682Cm)

国東半島のつけ根に位置する豊後高田市南部の山中にあり、熊野修験道との関わりから生まれた。

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*胎蔵寺から、山道を登り、さらに自然石の乱積石段を登ると、左手に熊野磨崖仏が見えてくる。

(撮影:平成23年3月16日 他)