梅遊寺(ばいゆうじ)(大分県豊後高田市一畑663)
室町時代に流行した十三仏板碑の遺品で、全国的にも古い室町時代前期 応永二十一年(1414)の銘がある。
梅遊寺十三仏種子板碑(県指定文化財、室町時代前期 応永二十一年 1414年、安山岩、高さ 119Cm 幅 70Cm)
本堂に向かい左側に安置される板碑群の右端に立つ。頭部山形、下に二条線、額部は突出し、身部に十三仏の種子、下方に紀年銘を刻む |
十三仏の種子は、上・中段が四個、下段が五個を刻む。上段右端、初七日の不動明王から始まり、下段左端、三十三回忌の虚空蔵菩薩で終わる。
通常、虚空蔵菩薩を頂点として十三仏を表現するが、最下端に刻まれるのは珍しい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
普賢菩薩 | 文殊菩薩 | 釈迦如来 | 不動明王 |
(アン) | (マン) | (バク) | (カーン) |
板碑 頭部 ・ 身部 上段
頭部山形は低く、下に二条線。額部(がくぶ)は突出する。身部上段に上記、四個の種子を刻む。
観音菩薩 | 薬師如来 | 弥勒菩薩 | 地蔵菩薩 |
(サ) | (バイ) | (ア) | (カ) |
身部 中段
身部中段に上記、四個の種子を刻む。
虚空蔵菩薩 | 大日如来 | 阿閦如来 | 阿弥陀如来 | 勢至菩薩 |
(タラーク) | (バン) | (ウーン) | (キリーク) | (サク) |
身部 下段 ・ 根部
身部下段に上記、五個の種子、その下左右に「応永廿一(1414)」「十一月四日」と刻む。
十三仏は、死者の追善供養のために初七日(不動)、二七日(釈迦)、三七日(文殊)、四七日(普賢)、五七日(地蔵)、六七日(弥勒)、七七日(薬師)、
百ヶ日(観音)、一周忌(勢至)、三回忌(阿弥陀)、七回忌(阿閦)、十三回忌(大日)、三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。
応永二十一年(1414)十三仏板碑と同形の板碑で、種子を墨書している。ほぼ同時代の板碑と推定されている。
梅遊寺(ばいゆうじ)墨書十三仏種子板碑 (室町時代、安山岩、高さ 125Cm 幅 81Cm)
三基並んだ中央の板碑。頭部は低い山形、下に二条線、額部は突出し、身部に十三仏の種子、下方に十六名の一結衆名を墨書する |
十三仏種子は、上・中段が四個、下段が五個を墨書する。配列は上記 応永二十一年銘板碑と同様、上段右端、初七日の不動明王から始まり、
下段左端、三十三回忌の虚空蔵菩薩で終わる。但し、墨書は一部を除いて ほとんど消えている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
板碑 頭部 ・ 身部 上段
頭部山形は一部破損する。下に二条線、額部(がくぶ)は突出する。身部上段に四個の種子を墨書する。
身 部
身部に十三仏の種子、下部に十六名の一結衆の名が墨書されている
下方の墨書:「妙口口禅口、道口、道林、道秘、妙通、道全、道円、法玄、道妙、道光、道円、正徳、妙金、妙浄、徳法、祐正」
梅遊寺(ばいゆうじ)板碑群
梅遊寺(ばいゆうじ) (曹洞宗)
*並石ダムから東方向へ約1Km、傾斜のきつい坂道の南側集落、細い道を入った所にある。1/50,000の地図を見ながら探したが見つからず、地元の人に聞いてやっとたどり着いた。
(撮影:平成23年3月17日)