正縁寺(しょうえんじ)(大阪府寝屋川市高倉1丁目8-12)
正縁寺は、もと融通念仏宗の寺院で現在は浄土宗の寺院。室町時代以降の石造物がたくさんある。
正縁寺(しょうえんじ)十三仏板碑(安土桃山時代 天正十四年 1586年、花崗岩、高さ 84Cm)
舟形の最上部に虚空蔵菩薩、その下 三列四段に残り十二仏、計十三仏を半肉彫りする。刻銘から時講(ときこう)関係の板碑と知れる |
十三仏の向かって右側に「時講人数十三人 敬白」、左側に「天正十四年(1586)二月十一日」の刻銘がある。
最上部 一段目
天蓋の下に虚空蔵菩薩坐像を半肉彫りする
二段目、向かって左から阿弥陀如来・大日如来・阿閦如来 |
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三段目、左から勢至菩薩・観音菩薩・薬師如来 | この地域は、生駒山系の西側にあたり、十三仏板碑の多い所である |
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四段目、左から弥勒菩薩・地蔵菩薩・普賢菩薩 | 五段目、左から文殊菩薩・釈迦如来・不動明王 |
十三仏は、死者の追善供養のために初七日(不動)、二七日(釈迦)、三七日(文殊)、四七日(普賢)、五七日(地蔵)、六七日(弥勒)、七七日(薬師)
、百ヶ日(観音)、一周忌(勢至)、三回忌(阿弥陀)、七回忌(阿閦)、十三回忌(大日)、三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。
六斎念仏の講衆が天正十八年(1590)に造立した板碑。この他、永禄二年(1559)の六字名号板碑もある。
正縁寺(しょうえんじ)六字名号板碑(安土桃山時代 天正十八年 1590年、花崗岩、高さ 173Cm) |
頂部山形で下に二条線、身部は枠取りし、蓮華座上に「南無阿弥陀仏」の六字名号を大きく刻み、左右の束に紀年銘、下部に銘文を刻む
名号の左右の束に「天正十八秊(1590)庚刁、七月九日口中 敬白」、下部に五行の銘文を刻む
銘文:「奉造立弥陀名号、六斎念仏講一結之十九人、此外念仏師為結衆奉入、此門各口誠現世得益口、口口口也乃至普利口」
六斎念仏:「毎月斎日(8・14・15・23・29・30日)ごとに太鼓・鐘をたたき念仏唱へ、衆生を勧め給ひて、往生する人ある時は太鼓・鐘をたたきて念仏を申し、
有縁無縁の弔ひをなし給ふなり、是れに依りて、俗呼びて六斎念仏といひ伝えたり」(空也上人絵詞伝)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
阿弥陀・地蔵 双仏石(室町時代、花崗岩、像高 72Cm) |
地蔵菩薩(向かって左)と阿弥陀如来の立像を厚肉彫りする。この二尊により、現世の安穏と来世の極楽往生を願ったと思われる。
正縁寺(しょうえんじ) 本堂
*JR学研都市線「忍ケ丘駅」下車、北方向へ 約400m。
(撮影:平成23年1月20日)