願成寺(がんじょうじ)(埼玉県飯能市大字川寺688-1)
板碑は、荘厳体で刻まれた阿弥陀如来の種子を主尊とする。南北朝時代の作品。
願成寺 荘厳体阿弥陀一尊種子板碑 (市指定文化財、南北朝時代、緑泥片岩、高さ 161Cm 下幅 46Cm)
身部は輪郭線を巻き、三弁宝珠の下、荘厳体で阿弥陀の種子を蓮華座上に薬研彫し、下に観無量寿経の偈と紀年銘を刻む |
板碑の厚さが5Cm、様式的にも整ってきており、時代が南北朝に入ってきているのがわかる。
板碑 頭部
頂部山形、下に二段の切込。身部に一重線の輪郭を巻く
板碑 種子
蓮華座上に阿弥陀種子「キリーク」を荘厳体で深く薬研彫する。上部に三弁宝珠がのる。
板碑下部、刻銘
身部下方中央に「康・・・・・・・十五日、教子、敬白」、左右に各一行で観無量寿経に出る偈を刻む。
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)十方世界(じっぽうせかい)」「念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず ]
刻銘は剥落している所が多く、紀年銘の最初の文字も「康」とか「永」とかに読まれている。作風からも、南北朝時代の作品と思われる |
板碑 根部
根部は、突出する
願成寺 板碑群
荘厳体阿弥陀種子板碑は、後列の左から二番目。
願成寺(がんじょうじ) 板碑群
簡素な覆屋に七基の板碑が立っている。
*西武池袋線 「飯能駅」下車、南方向へ徒歩 約20分。又は、JR八高線 「東飯能駅」下車、南方向へ徒歩 約21分。
(撮影:平成23年11月4日)