西光寺跡(さいこうじあと)(埼玉県飯能市大字原市場318)
西光寺跡に立つ四基中 右端の板碑で、鎌倉時代後期 正和元年(1312)の紀年銘がある。
西光寺 阿弥陀三尊種子板碑 (市指定文化財、鎌倉時代後期 正和元年 1312年、緑泥片岩、高さ 156Cm 下幅 43Cm)
頭部山形、下に二段の切込、身部は阿弥陀三尊の種子を蓮華座上月輪内に薬研彫し、下に往生本縁経に出る偈(げ)、願文、紀年銘を刻む |
板碑 頭部
頂部山形はやや低く、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部は、一重線の輪郭を刻む。
身部、阿弥陀三尊の種子を蓮華座上月輪内に薬研彫する | 身部下方、中央に紀年銘、上方に往生本縁経に出る偈、下方に願文を刻む |
阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀の種子「キリーク」、向って右下 に観音の種子「サ」、左に勢至の種子「サク」を蓮華座上月輪内に刻み阿弥陀三尊とする。
板碑下方、刻銘全文:「一念弥陀仏、即滅無量罪、現受無比楽、後生清浄土」、「沙弥性圓、為逆修」、「正和元年(1312)壬子、八月時正」
( 鎌倉時代後期 正和元年(1312)秋 彼岸の中日に、沙弥性円が生前に自身の為に仏事を行い(逆修)、この板碑を造立した。)
往生本縁経に出る偈(げ)
偈(げ):「一念弥陀仏(いちねんみだぶつ)、即滅無量罪(そくめつむりょうざい)、現受無比楽(げんじゅむひらく)、後生清浄土(ごしょうしょうじょうど)」
[ 一たび阿弥陀仏を念ずれば、ただちに無量の罪を滅ぼし、まのあたりに無比の楽を受け、後生には浄土に生まれん。]
板碑は、移設の際 洗浄され、見違えるほど美しくなった。 | 刻銘:「正和元年(1312)壬子、八月時正」 |
板碑、下方
根部(下端)は薄く突出する。身部下方、両端に刻銘がある。
刻銘:「沙弥性圓、為逆修」
願成寺(がんじょうじ)阿弥陀一尊種子板碑 石仏と石塔-目次!
西光寺 阿弥陀三尊種子板碑 四基 (市指定文化財、鎌倉時代)
板碑は、左端から弘長元年(1261)、正元二年(1260)、正和四年(1315)、正和元年(1312)の紀年銘がある。
四基の板碑は現在地の裏側、墓地内上段にある歴代住職の墓石と並んで立っていた。
平成23年度(2011)に修復・洗浄の上、現在地に設置された。(現在の地上高は、左から214Cm・175.5Cm・164.5Cm・154Cm)
*西武池袋線 飯能駅又はJR八高線 東飯能駅西口から国際興業バス 原市場方面 行きに乗車、 「赤工(あかだくみ)バス停」下車 北西方向へ徒歩 約4分。
(撮影:平成24年11月8日)