四本木(しほんぎ)の板碑(埼玉県日高市大字原宿103)
日高市最大の板碑で、阿弥陀種子を主尊とする。鎌倉時代後期 正和三年(1314)の紀年銘がある。
四本木の板碑 (市指定文化財、鎌倉時代後期 正和三年 1314年、緑泥片岩、高さ 300Cm 下幅 68Cm)
頭部山形、下に二段の切込、身部は阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫し、下に観無量寿経に出る偈(げ)、願文、紀年銘を刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻く。
身部、阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫する | 身部下方、上方に観無量寿経に出る偈、下方中央に紀年銘 |
板碑下方、刻銘全文:「光明遍照、十方世界、念仏衆生、摂取不捨」、「右志者為師長七世四恩幷現、在導然同列口衆二十二人惣口平等」
「木一金半尋可寄助力結縁者往生、極楽乃至法界平等利益逆修如件」、「正和三歳(1314)甲寅、八月八日時正、第二、敬白」
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
日高市で最大高を誇る板碑で、昔から良く知られていた。 | 刻銘:「正和三年(1314)甲寅、八月八日時正」 |
板碑、下方
刻銘は、全体に摩耗が激しく肉眼では読めないが、中央の紀年銘は深く刻まれおり判読可能。
四本木の板碑背面 (市指定文化財、鎌倉時代後期)
五差路に面して立っており、昔から「ランドタワー」的な役割もはたしている。
*JR八高線・JR川越線 「高麗川(こまがわ)駅」下車、北北西方向へ徒歩 約12分。または、高麗川駅前から国際興業バス 埼玉医科大学病院方面に乗車、「板仏バス停」下車 南方向へ約100m下ると「板仏」交差点があり、その交差点を南西方向へ約100m行くと五差路に出る。板碑は、五差路に面して立っている。「板仏」とは、板碑のこと。
(撮影:平成24年11月9日)