高正寺(こうしょうじ)(埼玉県入間市仏子1511)
高正寺板碑群 中央に立つ板碑で、五基の内最も新しい室町時代前期 宝徳四年(1452)の在銘碑。また、釈迦三尊種子は、珍しい配置になっている。
高正寺 釈迦三尊種子板碑 (室町時代前期 宝徳四年 1452年、緑泥片岩、高さ 127Cm 下幅 39Cm)
頭部山形、身部は釈迦・地蔵・観音の種子で釈迦三尊を構成する。下方は、両側に光明真言と随求真言、中央に願主 等の銘文を刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部は、一重線の輪郭を巻く。
この時代の天蓋の下、蓮華座上月輪内に釈迦三尊種子を刻む。 | 中央に願主名と紀年銘、両脇に光明真言と随求真言を刻む。 |
釈迦三尊種子は、上方に釈迦如来の種子「バク」、向って右下 に地蔵菩薩の種子「カ」、左に観音菩薩の種子「サ」を蓮華座上月輪内に刻み釈迦三尊とする。
釈迦三尊の脇侍は通常、文殊菩薩 「マン」・普賢菩薩 「アン」で表すが、ここでは地蔵菩薩 「カ」・観音菩薩 「サ」で表す珍しいケース。
身部下方、中央の刻銘:「秋翁山公和尚、逆修、寶徳二二(四)年(1452)、壬申、卯月廿四日、敬白」
光明真言(向かって右側二行):「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」
随求真言(左側二行):「オン、バ、ラ、バ、ラ、サン、バ、ラ、サン、バ、ラ、イ、ンヂリ」 「ヤ、ビ、シュ、ダ、ニ、ム、ム、ロ、ロ、シャ、レイ、ソワー、カー」
刻銘部 上方
中央に「秋翁山公和尚、逆修」、両脇に各二行、向って右に光明真言、左に随求真言を梵字で刻んでいる。
刻銘から、秋翁山公和尚が生前、自分の為に死後の法要を営んだ逆修塔であることが分かる。
天蓋、三尊種子、光明真言、随求真言と以外に見所がある板碑 | 刻銘:「寶徳、二二(四)年(1452)、壬申」 |
高正寺(こうしょうじ)板碑群
板碑は、左端から文永五年(1268)、建長二年(1250)、宝徳四年(1452)、寛元四年(1246)、観応二年(1351)の紀年銘がある。
*西武池袋線 「仏子(ぶし)駅」下車、南西方向へ徒歩 約7分。
(撮影:平成24年11月8日)