慈光寺(じこうじ)(埼玉県比企郡ときがわ町西平386)
慈光寺参道に立つ九基の板碑中、最大の板碑。慶秀・頼承・慶救の三名が、先師の三十三回忌にあたり、先師と寺ゆかりの僧 十四名の霊を追善供養するため造立した。
慈光寺阿弥陀一尊種子板碑(県指定文化財、南北朝時代中期 貞治四年 1365年、緑泥片岩、高さ 272Cm 下幅 65Cm)
身部上方に阿弥陀の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫し、下方に十四名の僧名と造立趣旨、紀年銘(貞治四年)等を刻む |
板碑 頂部
頭部山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部は、一重線の輪郭を巻く。
阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上月輪内に薬研彫する | 身部下方の刻銘 |
身部下方の刻銘
阿弥陀種子 蓮華座の下に、寺ゆかりの僧 十四名の交名が刻まれる。
その下に慶秀・頼承・慶救の三名が、先師の三十三回忌にあたり、先師と寺ゆかりの僧 十四名の霊を追善供養するために造立した旨が記される
阿弥陀種子 蓮華座の下、寺ゆかりの僧 十四名の連名 | ||||||
教阿 | 見蓮 | 教阿 | 栄秀 | 頼源 | 頼慶 | 頼憲 |
定賢 | 道観 | 光阿 | 妙空 | 光阿 | 浄覚 | 専信 |
十四名の交名の下、刻銘全文 | 刻銘:「貞治四年(1365)乙巳、三月廿八日」 |
十四名の交名の下、刻銘全文
中央に「貞治四年(1365)乙巳三月廿八日」、向かって右に二行「右志者為先師聖霊三十三廻之」「忌辰幷所載先亡後滅之霊等」、
向かって左に二行「出離生死證大菩提乃至法界」「平等利益也仍造立如件」、下方に「弟子法印慶秀敬白、頼承敬白、慶救敬白」三名の造立者名を刻む
右志者為先師 → | 聖霊三十三廻之 → | 忌辰幷所載先 → | 亡後滅之霊等 |
板碑 下方、願文、向かって右側の二行
「右志者為先師聖霊三十三廻之」 「忌辰幷所載先亡後滅之霊等」
出離生死證大 → | 菩提乃至法界 → | 平等利益也 → | 仍造立如件 |
板碑 下方、願文、向かって左側の二行
「出離生死證大菩提乃至法界」 「平等利益也仍造立如件」
向かって左側:「慶救、敬白」 | 中央:「弟子法印慶秀、敬白」 |
板碑 最下部、造立者名、向かって左側と中央の二名
右側の「頼承」の名は、磨滅している。
慈光寺 板碑群(県指定文化財、鎌倉時代中期~室町時代中期、向かって右の七基)
貞治四年(1365)銘 阿弥陀種子板碑は、向かって右から五基目(九基中、最大高)
*東武東上線 武蔵嵐山駅西口またはJR八高線 明覚駅前から「ときがわ町路線バス」に乗車、「せせらぎバスセンター」で乗り継ぎ「慈光寺バス停」下車、バス道を少し下る。又は、「慈光寺入口バス停」下車 徒歩 約30分。
(撮影:平成20年3月23日、平成24年4月20日)