興禅寺(こうぜんじ)(埼玉県入間郡越生町西和田849)
三基並んで立つ左端の板碑で、下部を欠くが右端と同形式で、同年の紀年銘 鎌倉時代後期 正安二年(1300)を刻んでいる。
興禅寺 阿弥陀種子板碑(鎌倉時代後期 正安二年 1300年、緑泥片岩、高さ 112Cm 下幅 41Cm)
頭部山形、下に二段の切込。身部は、阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫し、下に涅槃経に出る偈と紀年銘を刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込、身部の輪郭はない。
身部、阿弥陀の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫する | 右端の同年銘板碑と同じ形式で、同じ石工の作と思われる。 |
板碑の下部は、残念ながら欠けており、紀年銘のと偈(げ)の下方が読めない。しかしながら、偈は諸行無常の偈である為、全文が想定できる。
板碑 下部
刻銘は中央に「正安二年(1300)・・」、左右に涅槃経に出る諸行無常の偈(げ)を刻む。
諸行無常の偈:「諸行無常(しょぎょうむじょう)」「是生滅法(ぜしょうめっぽう)」「生滅々已(しょうめつめつい)」「寂滅為楽(じゃくめついらく)」
[ 諸行は無常である。これ生滅の法である。生滅を滅しおわりて、生も滅もない寂滅を楽しみとする。]
板碑、背面
中央の建武元年(1334)銘 金剛界大日種子板碑は二分断し、金具で補強されている。
三基並んで立つ板碑
中央は建武元年(1334)銘、両側二基は正安二年(1300)銘。三基とも異なる偈(げ)を刻んでいる。
*JR八高線・東武越生線 「越生(おごせ)駅」下車、北方向へ約1.5Km。
(撮影:平成24年11月9日)