おねんぼう様(阿弥陀種子・図像複合板碑)

 おねんぼう様 [埼玉県比企郡吉見町古名(こみょう)]

  阿弥陀の種子と図像を刻んだ大板碑で、頭部を欠損する。土地の人は「おねんぼう様」と呼び信仰している。鎌倉時代中期 文永十二年(1275)の銘がある。

おねんぼう様(阿弥陀種子・図像複合板碑)(町指定文化財、鎌倉時代中期 文永十二年 1275年、緑泥片岩、高さ 230Cm 下幅 60Cm)

頭部を欠損する。身部上方、荘厳体の阿弥陀種子が残る。その下、蓮華座上に来迎印阿弥陀如来を浮彫にし、下方に願文・紀年銘を刻む

板碑 上部

荘厳体の阿弥陀種子「キリーク」が残る。種子は蓮華座なしに薬研彫されている。身部は、太い一重の輪郭を巻く。

阿弥陀如来 上半部

右手は上品の相、頭部は螺髪(らほつ)まで丁寧に刻み、頭光の中心に連弁が刻まれている。

来迎阿弥陀如来立像

みごとな放射光を表現した頭光を負い、蓮華座に立つ来迎阿弥陀如来を浮彫にする。阿弥陀如来は、神々しくも美しい。

蓮華座

蓮華座は、陰刻ではなく、浮彫にされている。

身部下方の刻銘 上部を欠損するが違和感がない。阿弥陀立像として刻まれた感すらする

身部下方の刻銘

中央に「文永拾二年(1275)乙亥、中春時正」、

両側に各二行「右所造立者為阿仏幷妻女、現世平生期待万善修行芳」、「千年松竹本臨終閉眼夕拝、三尊来迎月紫雲十念時也」

「文永十二年春、彼岸の中日に阿仏と妻女の逆修供養の為に造立された」 「千年の松竹、臨終で眼を閉じる夕べ、紫雲たなびく月より三尊が来迎するを拝す。今が十念の時なり」

阿弥陀一尊種子板碑(鎌倉時代後期 正和二年 1313年、緑泥片岩)

頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻き、上方に阿弥陀の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫し、

下方に「正和二年(1313)十月日」の紀年銘のみ刻む。干支がなく、年の字が略してあるので正和三年かもしれない。

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おねんぼう様

新しい覆屋に安置されている。

 板碑(いたび)

*東武東上線 東松山駅東口からJR高崎線鴻巣駅経由免許センター行きに乗車、「古名(こみょう)バス停」下車 北方向へ 徒歩 約8分。

(撮影:平成24年4月21日)