慈眼寺(じげんじ)(埼玉県狭山市入間川1-9-37)
主尊が阿弥陀三尊で、偈(げ)は大日如来。浄土教と密教が混在した板碑で、鎌倉時代後期 嘉元三年(1305)の紀年銘がある。
慈眼寺 阿弥陀三尊種子板碑 (鎌倉時代後期 嘉元三年 1305年、緑泥片岩、高さ 109Cm 下幅 34Cm)
慈眼寺境内、本堂横 左手に立つ。身部は阿弥陀三尊の種子を蓮華座上に、下方中央に紀年銘、左右に各二行の偈(げ)を刻んでいる。 |
板碑 頭部
頭部山形は低く、頂部を損傷、下に二段の切込。身部は、一重線の輪郭を巻く。
身部、蓮華座上に刻まれた阿弥陀三尊の種子。 | 身部下方、中央に紀年銘、左右に出典不詳の偈(げ)を刻む。 |
三尊種子は、上方に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を蓮華座上に力強く薬研彫する。
板碑下方、左右に各二行「本地信佛、大日如来、法界塔婆、三摩耶形」、中央に「嘉元三年(1305)、乙巳、七月日」と刻む。
偈(げ)
偈(げ):「本地信佛(ほんじしんぶつ)、大日如来(だいにちにょらい)」、「法界塔婆(ほっかいとうば)、三摩耶形(さんまやぎょう)」
[ すべての塔婆は、本地信仏である大日如来の三摩耶形なり ]
三摩耶形:仏菩薩の本誓(本願)を象徴する器形で、不動明王の利剣、大日如来の卒塔婆、薬師如来の薬壺などがこれにあたる。
本来の偈は、「本地法身 法界塔婆 大日如来 三摩耶形」で、本板碑には変更が見られる。
種子が力強く薬研彫され、また、刻銘は草書体で美しい。 | 刻銘:「嘉元三年(1305)、乙巳、七月日」 |
慈眼寺(じげんじ) 本堂
本尊は、聖観世音菩薩。
慈眼寺 (曹洞宗、武蔵野三十三観音 第十六番札所)
正長元年(1428)に草庵が結ばれ、大永年間(1521~1528)に一樹和尚により開山されたという。
*西武新宿線 「狭山市駅」下車、西口から南西方向へ徒歩 約7分。
(撮影:平成23年11月8日)