霊山院(りょうぜんいん)阿閦種子板碑

 霊山院(りょうぜんいん)(埼玉県比企郡ときがわ町西平445)

  碑面は、板碑では珍しい阿閦(あしゅく)の種子「ウーン」、しかも荘厳体で薬研彫する。鎌倉時代後期 永仁四年(1296)の在銘。

霊山院 阿閦種子板碑(県指定文化財、鎌倉時代後期 永仁四年 1296年、緑泥片岩、高さ 202Cm 下幅 47Cm)

本堂の手前、左手に立つ。身部上方、荘厳体で彫られた阿閦(あしゅく)如来の種子を薬研彫し、下方は随求真言、願文、紀年銘を刻む

板碑 頂部

頭部山形、下に二段の切込、身部は二重線の輪郭を巻く

荘厳体で彫られた阿閦如来の種子「ウーン」 身部下方、大随求陀羅尼小呪、願文、紀年銘を刻む

身部下方、左右に各一行「大随求陀羅尼小呪」の真言、中央に「願文」、その下に紀年銘を刻む。

大随求陀羅尼小呪の真言:「オン、バ、ラ、バ、ラ、サン、バ、ラ、サン、バ、ラ、イ、ンヂリ、ヤ」「ビ、シュ、ダ、ニ、ウーン、ウーン、ロ、ロ、シャ、レイ」

中央の願文:「為造立浮図(ふと)幷千部妙経生々父母結界」、その下二行「永仁二二(四)(1296)、丙申二月日」と刻む。

大随求陀羅尼小呪は、大随求菩薩の真言をとなえれば、衆生の求める願いにしたがって、救済の手をさしのべ成就させることができる真言。

板碑 下部の紀年銘

紀年銘:「永仁二二(四)(1296)、丙申二月日」

身部下方、随求陀羅尼小呪、願文、紀年銘 願文上部:「為造立浮図(ふと) → 願文下部:「千部妙経生々父母結界」

願文:永仁四年(1296)二月、父母の為に法華経一千部を読誦し、塔婆を造立した。浮図(ふと)は、塔婆を意味する。

阿閦(あしゅく)の種子が、上部の二重輪郭を突き破り踊っている 板碑 側・背面

霊山院本堂(江戸時代中期 宝永四年 1707年建立、昭和四十六年 1971年改築)

霊山院(りょうぜんいん)は、鎌倉時代初期 建久八年(1197)に慈光寺の塔頭として創建された。

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霊山院(りょうぜんいん)勅使門 (臨済宗 妙心寺派)

 板碑(いたび)

*東武東上線 武蔵嵐山駅西口またはJR八高線 明覚駅前から「ときがわ町路線バス」に乗車、「せせらぎバスセンター」で乗り継ぎ「慈光寺バス停」下車、西方向へ徒歩 約12分。「慈光寺入口バス停」下車 徒歩 約50分。

(撮影:平成24年4月20日)