笹尾峠(ささおとうげ)不動一尊種子板碑(滋賀県蒲生郡日野町鎌掛)
笹尾峠の近く、山中に立つ板碑で、室町時代中期 明応九年(1500)の造立。山伏の通行に関しての執達状を写している。
笹尾峠(ささおとうげ)不動一尊種子板碑 (室町時代中期 明応九年 1500年、花崗岩、総高 204Cm)
頂部水平で三線を刻む。身部は上方に、不動明王の種子「カーンマーン」、下方に長文の銘文を刻む。身部の幅は、先端で21.5Cm下方で33Cm |
板碑は、古くから蒲生郡と甲賀郡の「郡分け石」と記録されている。現在、板碑は日野町鎌掛と甲賀市土山町瀬ノ音の境界線あたりに立っている。
板碑 頭部
頂部水平で三線、身部上方に、不動明王の種子「カーンマーン」を刻む
身部の刻銘は三行で、左右が上から下まで、中央は下部のみ | 下部中央の刻銘:「明応九年(1500)庚申十一月」 |
塔身、三行の刻銘全文 (「近江の石造美術 3」 田岡香逸 著、民俗文化研究会より)
「凡奉尋山伏之口口口如来之教勅三界縁口之尊主口怨祭口口口也」
「明応九年(1500)庚申十一月十三日与口」
「然則役行者舊例於口口出門口口止其煩可令勘過也仍執達如件」
役行者の旧例に従い、山伏に限り関銭(通行料)を支払わないという訴訟を勝取り、その執達状を写し、不動明王の名において板碑に書き込んだ。
板碑 頭部
頂部の三線は正面部のみで、側面には及ばない
塔身、上部の刻銘 | 塔身、下部の刻銘 |
塔身、三行の刻銘 (「近江の石造美術 3」 田岡香逸 著、民俗文化研究会より)
「凡奉尋山伏之口口口如来之教勅三界縁口之尊主口怨祭口口口也」
「明応九年(1500)庚申十一月十三日与口」
「然則役行者舊例於口口出門口口止其煩可令勘過也仍執達如件」
山の中に立つ板碑
笹尾峠 (ささおとうげ)
御代参街道(ごだいさんかいどう)の笹尾峠から土山方向に入り、
写真中央奥の赤い標識のすぐ手前の小道を頂上方向(左側)へ登ると板碑が立っている
*近江鉄道 日野駅から徒歩数分の日野レンタサイクル(西塚自転車店)でレンタサイクルを借り途中まで行き、山道は徒歩で登った。笹尾峠の位置は、国土地理院1/25,000地図(土山)に記載されている。
(撮影:平成23年10月19日)