浄土寺(じょうどじ)大日・阿弥陀二尊種子板碑

 浄土寺(じょうどじ)(千葉県香取市大戸川 35)

  中央に金剛界大日と阿弥陀の種子を刻む下総型板碑で、鎌倉時代後期 永仁六年(1298)の紀年銘がある。二尊種子の下総型板碑としては、初出といわれている。

浄土寺 大日・阿弥陀二尊種子板碑 (鎌倉時代後期 永仁六年 1298年、黒雲母片岩、高さ 123Cm 幅 53Cm)

鐘楼の奥に並んで安置する板碑群、向かって右から三基目の板碑。身部に、金剛界大日如来と阿弥陀如来の種子を並べて大きく刻む

板碑 頭部

  頭部山形、下に二条線。身部は輪郭を巻かない。

板碑 中央部

  中央部は、向かって右に金剛界大日の種子「バン」、左に阿弥陀の種子「キリーク」を薬研彫し、

天蓋と蓮華座で荘厳する。天蓋とともに蓮華座にも瓔珞(ようらく)を付けているのが珍しい。

金剛界大日種子(バン)の下部、観無量寿経の偈(げ)

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

阿弥陀種子(キリーク)の下部、刻銘

左右の刻銘:右志者別当入、道妻女出離生、死往生極楽也、時正各々敬白」

中央の刻銘:「永仁六年(1298)、戊戌、八月二日」

別当入道が、妻の追善供養碑として、鎌倉時代後期 永仁六年(1298)八月の彼岸の中日に造立した。

板碑群 向かって右側三基

向かって右端は、文永八年(1271)銘 阿弥陀種子板碑で、中央が至徳三年(1386)銘 十三仏種子板碑。

浄土寺(じょうどじ)板碑群

鐘楼の奥、植込みの中に並んで安置されている。

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浄土寺(じょうどじ)本堂 (浄土宗)

 板碑(いたび)

*JR成田線 「大戸駅」下車、北西方向へ徒歩 約5分。

(撮影:平成23年11月3日)