塩船観音寺(しおふねかんのんじ)板碑群

 塩船観音寺(しおふねかんのんじ)(東京都青梅市塩船194)

  板碑群は、鎌倉時代後期から室町時代前期のもので、板碑堂と名付けられた小堂に安置されている。

塩船(しおふね)観音寺 阿弥陀一尊種子板碑

  板碑は、向かって右上部を欠損する。阿弥陀種子を刻んだ板碑で、頭部が水平、額部を持つ。僧 慈妙の逆修供養の為、南北朝時代 永和二年(1376)に造立された。

塩船観音寺 阿弥陀一尊種子板碑(南北朝時代後期 永和二年 1376年、緑泥片岩、高さ 82Cm 下幅 30Cm)

板碑 頭部

頭部は水平で、山形・二条線はなく額部は薄く突出する。身部は、一重線の輪郭を巻く。

主尊は阿弥陀如来で、蓮華座上月輪内に種子を薬研彫する。

板碑、下方の刻銘 刻銘:永和二年(1376)八月」

板碑、下方の刻銘

中央に永和二年(1376)八月 日、慈妙、逆修、左右に各二行「観無量寿経」に出る偈を刻む

観無量寿経に出る偈(げ)

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

塩船(しおふね)観音寺 阿弥陀三尊種子板碑

 頭部山形、下に二段の切込。身部は、一重線の輪郭を巻く。身部上方に阿弥陀三尊の種子、下方に応永二十六年(1419)の紀年銘と造立者名を刻む。

塩船観音寺 阿弥陀三尊種子板碑(室町時代前期 応永二十六年 1419年、緑泥片岩、高さ 80Cm 下幅 23Cm)

阿弥陀三尊は、上に大きく阿弥陀の種子「キリーク」、向かって右下に観音の種子「サ」、左下に勢至の種子「サク」を蓮華座上月輪内に薬研彫する。

板碑、下方の刻銘

中央に応永廿六年(1419)己亥、十月廿四日」、左右に「阿闍梨、祐圓」と刻む。

塩船(しおふね)観音寺 阿弥陀三尊種子板碑(断碑)

 板碑は、上半を欠損する。身部は、一重線の輪郭を巻き、上方に阿弥陀三尊の種子、下方に正中二年(1325)の紀年銘と「観無量寿経」に出る偈を刻む

塩船観音寺 阿弥陀三尊種子板碑(断碑)(鎌倉時代後期 正中二年 1325年、緑泥片岩、高さ70Cm 下幅 32.5Cm)

板碑は、下方中央に正中二年(1376)乙丑、四月廿五日、孝子、敬白、左右に各二行「観無量寿経」に出る偈を刻む。

観無量寿経に出る偈(げ)

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

塩船(しおふね)観音寺 阿弥陀一尊種子板碑(断碑)

 板碑は、上半を欠損する。身部は、輪郭を巻かず、上方に阿弥陀の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫し、下方に正和五年(1316)の紀年銘を刻む。

塩船観音寺 阿弥陀一尊種子板碑(断碑)(鎌倉時代後期 正和五年 1316年、緑泥片岩、高さ 59Cm 下幅 30Cm)

板碑は、下方に「正和五年(1316)三月十八日の紀年銘を刻む。

 龍光寺(りゅうこうじ)六字名号板碑                           石仏と石塔-目次!

塩船観音寺(しおふねかんのんじ)薬師堂(市指定文化財、安土桃山時代、寄木造、茅葺)

 板碑(いたび)

*JR青梅線 河辺(かべ)駅北口から 都バス 塩船観音方面行きに乗車、「塩船観音入口バス停」下車、北方向へ徒歩 約8分。

(撮影:平成24年4月19日)