龍光寺(りゅうこうじ)(東京都八王子市宇津木町738)
時宗 二祖 他阿(たあ)上人の三十五年忌に造立したと伝える六字名号板碑で、時宗板碑の代表的作品。
龍光寺 六字名号板碑 (市指定文化財、南北朝時代前期 文和二年 1353年、緑泥片岩、高さ 170Cm 下幅 44Cm)
身部は、蓮華座上に「南無阿弥陀仏」の六字名号を楷書で大きく刻み、向かって右側上方に「他阿弥陀佛」、左側上方に「時阿弥陀仏」と刻む。
碑面には、時宗の衆徒 百六名の法名(阿号)、下部の中央に紀年銘、左右に願文を刻む。
板碑 頂部
頭部山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部は、一重線の輪郭を巻く。
刻銘:「時阿弥陀佛」 | 蓮華座上に「他阿弥陀佛」と刻む |
六字名号上方、左右の刻銘
六字名号の上方、向かって右側に「他阿弥陀仏」、左に「時阿弥陀仏」と刻む
「他阿弥陀仏」とは、時宗 二祖 他阿上人で蓮華座上に刻まれ、その三十五年忌に「時阿弥陀仏」が中心となり、造立供養した。
他阿上人(真教)は、実質的な時宗教団の開祖で、「他阿弥陀仏」という名が以後、遊行の法灯を受け継いだ僧によって用いられた。
板碑 下部
蓮華座の下、中央に「文和二年(1353)、癸巳、十一月廿一日」、
左右に「右以造立塔婆」「重者為一切衆生」、「菩提平等利益也」「仏師子代住圓性」の刻銘がある。
刻銘に仏師子代住円性とあり、小代は現在の東松山市正代にあたり、正代阿弥陀一尊 図像板碑をはじめとする三基、
近くには香林寺 図像板碑があり、初期板碑の宝庫となっている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
刻銘:「文和二年(1353)、癸巳、十一月廿一日」 | 碑面に、時宗の衆徒 百六名の法名(阿号)を刻む |
六字名号の左右や下部のいたるところに、時宗の衆徒 百六名の法名が(阿号)が刻まれている。
この名号板碑は、他阿(たあ)上人の三十五年忌に故人の菩提供養の為、「時阿弥陀仏」が中心となり、同行の時宗を結集し造立したと考えられている。
他阿上人(真教)は、自らが開いた相模国当麻の無量光寺で文保三年(1319) 八十三歳で示寂した。無量光寺には墓塔の宝篋印塔が歴代廟所に立っている。
龍光寺(りゅうこうじ) 板碑収容庫
収容庫は、赤色に塗られ、背面を除く三面に透明のガラスがはめられている。
大正初年頃までは、谷地川沿いの街道に立っていた。時宗の板碑を代表する名品で、結衆板碑として貴重 |
龍光寺(りゅうこうじ)本堂
龍光寺(りゅうこうじ)(真言宗智山派)
*JR・京王 八王子駅駅北口から純心女子学園行きに乗車、「龍光寺前バス停」下車 徒歩 約1分。又は、JR八高線「小宮駅」下車、西方向へ徒歩 約30分。
(撮影:平成23年11月4日)