大日寺(だいにちじ)(鳥取県倉吉市桜354)
現地には、在銘のものは残っていない。京都 北村美術館に隣接する四君子苑の庭園に置かれている五輪塔は、ここにあったもので鎌倉時代中期 文永二年(1265)の銘がある。
大日寺(だいにちじ)五輪塔群全景 (極楽の峰)(県指定史跡、鎌倉時代~室町時代 、凝灰岩、最大高 185Cm)
大日寺(だいにちじ)五輪塔群 部分(極楽の峰)(県指定史跡、鎌倉時代~室町時代 、凝灰岩、最大高 185Cm)
大日寺(だいにちじ)五輪塔(極楽の峰)(写真:A) (県指定史跡、鎌倉~室町時代 、凝灰岩、高さ 166Cm)
各輪に「五輪塔四門の梵字」を月輪内に刻む。火輪は、緩やかに反り、軒幅が狭く、上端に露盤を作る。この地方独特の特長を備える。
五輪塔 四門の梵字、上(空輪)から下(地輪)へ
キャ・カ・ラ・バ・ア (東方、発心門) キャー・カー・ラー・バー・アー (南方、修行門)
ケン・カン・ラン・バン・アン (西方、菩提門) キャク・カク・ラク・バク・アク (北方、涅槃門)
大日寺(だいにちじ)五輪塔(極楽の峰)(写真:A、B) (県指定史跡、鎌倉~室町時代、凝灰岩)
大日寺(だいにちじ)五輪塔(極楽の峰)(写真:B) (県指定史跡、鎌倉時代 、凝灰岩、高さ 185Cm)
「極楽の峰五輪塔群」のなかで一番大きい五輪塔で、各輪に「五輪塔四門の梵字」を月輪内に刻む。
火輪は軒口厚く、上端は露盤をつくらない。軒下は直線的で、古い五輪塔の形式。写真Aよりも古いものと思われる。
大日寺 五輪塔(極楽の峰)(写真:C) (県指定史跡、鎌倉時代後期 、凝灰岩、高さ 142Cm)
五輪塔(写真C)、五輪塔群はこの五輪塔を中心にほぼ対称に置かれている。水輪が他の輪に比べ小さく、火輪も梵字がみられず別物と思われる。
四門の梵字は、風・空輪と地輪にみられる。火輪は軒口厚く両端で力強く反り、上端に薄い露盤を刻出する。地輪はやや背が低い。
大日寺(だいにちじ)五輪塔群(極楽の峰)(県指定史跡、鎌倉時代~室町時代 、凝灰岩、最大高 185Cm)
大日寺 五輪塔(極楽の峰)(写真:D) (県指定史跡、鎌倉時代後期 、凝灰岩、高さ 182Cm)
五輪塔(写真 D)、「極楽の峰五輪塔群」のなかで二番目に大きい五輪塔で、各輪に「五輪塔四門の梵字」を月輪内に刻む。
火輪は、軒口厚く、両端で力強く反る、上端は露盤をつくらず、軒幅は狭い。水輪は、やや角ばった球形。
大日寺 五輪塔(極楽の峰)(写真:E) (県指定史跡、鎌倉後期~室町時代 、凝灰岩、高さ 164Cm)
五輪塔(写真 E )、「五輪塔四門の梵字」を各輪の月輪内に刻む。火輪は、緩やかに反り、上端は露盤を刻出する。
大日寺 五輪塔(極楽の峰)(写真:F) (県指定史跡、鎌倉時代後期 、凝灰岩、高さ 161Cm)
五輪塔(写真 F)、「五輪塔四門の梵字」を各輪の月輪内に刻む。火輪は、軒口厚く、両端で反る、上端は露盤をつくらない。
火輪(笠)が大きく重量感があり、他の輪と比べ違和感がある。
大日寺(だいにちじ)五輪塔群 (極楽の峰)(県指定史跡、鎌倉時代~室町時代 、凝灰岩、最大高 185Cm)
五輪塔群は、写真C の五輪塔を中心に、ほぼ対称に合計四十数基もの石塔が南面して置かれている。
大日寺五輪塔群は、この「極楽の峰五輪塔群」の他に、大日寺から西へ約700mに大イチョウを中心とした円地坊五輪塔群があり、
円地坊を東へ約100mの山腹に「頼朝墓」がある。五輪塔は、鎌倉時代から室町時代にかけての造立とみられている。
※ 京都 四君子苑(しくんしえん)の五輪塔について下記に記す。
四君子苑(しくんしえん)(北村美術館)(京都市上京区河原町今出川南一筋目東入る)
四君子苑の庭園には、我国を代表する石造美術品をはじめとして約六十点が配置されている。春・秋のシーズンに約1週間位の公開日があり、公開日は宣伝されず、
問い合わせれば教えてもらえる。(写真禁止)
旧 大日寺(だいにちじ)五輪塔(鎌倉時代中期 文永二年 1265年、凝灰岩、高さ 127Cm:鳥取県倉吉市桜の大日寺にあったもの)
四君子苑の東側、渡り廊下の右側に置かれている。各輪四方に五輪塔四門の梵字を大きい月輪内に薬研彫する。火輪(笠)はゆるく反り、上端に薄い露盤を刻出する。
地輪は背が低く、水輪はやや下ぶくれ、風・空輪は当初のものではないという。地輪「アク」の面に、「文永二年(1265)乙丑八月十三日、口沙弥西仏他界」と刻む。
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*JR 山陰本線 倉吉駅前から日ノ丸バス高城線 桜行きに乗車、終点「桜バス停」下車、南西方向へ徒歩 約5分で大日寺。「極楽の峰五輪塔群」は、さらに西 約700mに円地坊(大イチョウ)があり、そこから西北方向へ約100m山を登った山腹に立っている。
(撮影:平成24年6月28日)