安楽寺(あんらくじ)八角三重塔(長野県上田市別所温泉2361)
日本で唯一の八角三重塔、初重は裳階(もこし)が付くため四重に見える。全体が禅宗様
安楽寺(あんらくじ)八角三重塔(国宝、鎌倉時代末期、こけら葺き、高さ18.7m)
三層部、組物は三手先、軒は扇垂木 |
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二層部、三層部と同じ扇垂木、三手先組物 |
安楽寺は、釈迦如来を本尊とする曹洞宗の寺院。寺伝では天長年間(824〜834)の開創という
塔は、基壇を設けず礎石の上に建つ。縁はなく、正面のみ桟唐戸他は板壁を設ける、長押はなく、柱頭の頭貫(かしらぬき)台輪に木鼻がつく
三層部、各面は連子窓 |
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二層部、三層部と同じ八角の各面は連子窓 |
相輪は鋳鉄製で、等身に比較して長い
早朝、ゆるやかな光のなかで三重塔が厳かに美しい
塔の内部は、須弥壇を設け金剛界大日如来を安置する
初層裳階部、組物は出組。台輪に木鼻がつく |
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初層の上部に、美しい弓欄間を設けている |
軒は、二軒扇垂木で勾配のゆるい垂木が放射状に広がる
八角の塔なので、どこから見ても同じ形に見える。屋根の反りが美しい
安楽寺のすぐ近くの常楽寺には、珍しい石造多宝塔(写真中央・重文)と多層塔(写真両脇・市文)がある
常楽寺石造多宝塔(重要文化財、鎌倉時代 弘長二年 1262年 一切経を納める納経塔として建立された)
*平成16年4月に撮った写真を整理し掲載した(平成18年12月29日)
写真:河合哲雄