大法寺(だいほうじ)三重塔(長野県小県群青木村当郷2052)

  三重塔は美しさのあまり思わず振り返る。「見返りの塔」という名を持つ国宝の塔

大法寺三重塔(国宝、南北朝時代 正慶二年 1333年、桧皮葺、高さ18.56m)


三層部、組物は三手先、中備えは中央間のみ間斗束

二層部、三層部と同じ。軒は二軒繁垂木

大法寺は、大宝年間(701〜704)藤原鎌足の子上恵が開創し大宝寺と称した

平安初期の大同年間(801〜810)に坂上田村麻呂の祈願で僧義真(初代天台座主)により再興された

塔は高欄のない縁をめぐらし、中央間板唐戸、脇間連子窓、中備えは中央間蟇股(中に飾りがない)、脇間間斗束


二層部、軒の反りが美しい

初層、組物は二手先

初層の組物は、通常より一手少ない二手先とし、初層平面を広くしている。相輪(写真:右)は完備し、水煙の姿も美しい

組物の手先を初層だけ少なくする塔は、興福寺三重塔(奈良県)と那谷寺(なたでら)三重塔(石川県)しかない


初層、中備えの蟇股

桧皮葺の屋根が美しい

地方にあって、中央の工匠により造営が行われた洗練された美しさを誇る三重塔

塔の内部は四天柱・来迎壁があり、須弥壇を設け金剛界大日如来坐像を安置する

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三重塔、初層正面中央の額

大法寺観音堂(内部の厨子と須弥壇、仏像二体は重文)

墨書きにより正慶二年(1333)に二重の組物を造っていたこと、大工は天王寺から来たことが分かる

*上田駅より千曲バス青木方面行きバスに乗車(25分)、東郷下車、徒歩約15分。大法寺について大雨にであった。約30分後、雨が上がり写真を撮った。

(平成18年8月12日撮影)