五流尊瀧院(ごりゅうそんりゅういん)(熊野神社)三重塔((岡山県倉敷市林952)

  この地は熊野五流の修験地として栄えた。明治の神仏分離に際して五院は天台宗の寺院となった

五流尊龍院三重塔(県指定文化財、江戸時代 文政三年 1820年建立、本瓦葺、高さ 21.5m)

三層部、中備えは中央間のみ間斗束。軒は扇垂木
二層部、中備えは三間とも間斗束、軒は二軒繁垂木

奈良時代、役行者(えんのぎょうじゃ)が民衆を惑わすという罪で伊豆に流された後、弟子たちが紀州熊野の十二社権現の御神体を守って瀬戸内海に逃れ、

各地をさまよった後、天平宝宇五年(761)に現在地に社殿を建立したのが始まりという。熊野神社と五流尊瀧院を一緒にして新熊野権現と呼ばれた

五流尊龍院三重塔は熊野神社と同一の境内に建っている

塔は、基壇上に建ち、擬宝珠高欄を付した縁をめぐらす。中央間桟唐戸、脇間連子窓、組物は三手先組物、中備えは三間とも間斗束


二層部、三手先組物、軒は二軒繁垂木

飛檐垂木の部分が三層とも新しい

三重塔は、熊野神社の別当寺院であった大願寺の湛海和尚によって文政三年(1820年)に再建された

大工棟梁は棟札により、邑久郡宿毛村の田淵嘉一兵衛勝繁と知れている

三重塔の軒は、一・二層が二軒平行繁垂木、三層は扇垂木として変化を持たせている


本瓦葺の瓦には熊野山の銘が入っている

初層、手挟み

塔の内部は四天柱、須弥壇があり金剛界大日如来坐像を安置する

五流尊龍院は修験の総本山として発展している

JR木見駅の近く、森池に映る新緑のグラデーションが美しかった

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熊 野 神 社

熊野神社には六棟の本殿があり一棟が重文に、一棟が県文に指定されている

*JR瀬戸大橋線 木見駅下車 徒歩 約25分。

(平成18年10月15日撮影分を大幅追加)