坂東寺(ばんどうじ)(福岡県筑後市熊野1012-1)
九州では城泉寺塔(三基)に次ぐ在銘古塔で、筑後地方最古。鎌倉時代前期 貞永元年(1232)の銘がある。
坂東寺(ばんどうじ)五重石塔(県指定文化財、鎌倉時代前期 貞永元年 1232年、凝灰岩、高さ 305Cm)
初層軸部(正面)、蓮華座上に如来形の四方仏坐像を浮彫にする。 | ||
五重石塔は、門内左手に立つ。相輪は、別石と思われる宝珠を載せる | 初層軸部(南面)、蓮華座上に如来形の四方仏坐像を浮彫にする。 |
初層軸部は背が高く、四方に如来坐像を蓮華座上に半肉彫りする。四面とも軸部面からの陽刻で、優れた技法を見せているが、お顔が磨損しているのは惜しまれる。
初層 屋根
勾配・軒反とも緩やかに反る。軒下の垂木型は、刻出しない。
初層軸部(西面)、蓮華座上に如来形の四方仏坐像を浮彫にする。 | ||
初層軸部(北面)、蓮華座上に如来形の四方仏坐像を浮彫にする。 | 基礎と二・三・四・五層の軸部各面に、四門の梵字を一字ずつ刻む |
四門の梵字、上(五層軸部)から下(基礎)へ
「キャ・カ・ラ・バ・ア」 (発心門) 「キャー・カー・ラー・バー・アー」 (修行門)
「ケン・カン・ラン・バン・アン」 (菩提門) 「キャク・カク・ラク・バク・アク」 (涅槃門)
基 礎 正(東) 面
基礎は低く、幅があるので安定している。梵字「アー」の両側に仁王像を浮き彫りにする。
向かって左側の仁王像 | 向かって右側の仁王像 |
基 礎 背(西) 面
中央に梵字「アン」を薬研彫する。「アン」の両側に薄い刻銘がある。
刻銘:「奉造立五重石塔、大勧進、預所口惣口、刑部丞中原為則」、「貞永元年(1232)、歳次、壬辰、八月彼岸日」
刻銘:「貞永元年(1232)、歳次、壬辰」 | 各層、屋根と軸部を別石にする形式で、古風を示している。 |
基 礎 南 面
中央に梵字「ア」を薬研彫する。
五層屋根と軸部 (正面)
屋根は緩やかに反り、頂部に露盤はない。軸部は、中央に梵字「キャー」を薬研彫する。
坂東寺(ばんどうじ)(天台宗)
延暦二十二年(803)頃、伝教大師最澄が薬師如来像をつくり堂に納めたのが始まりという。
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*JR鹿児島本線 「羽犬塚駅」下車、北北西方向へ徒歩 約40分。
(撮影:平成24年1月29日)