円台寺(えんだいじ)建久七年銘 笠塔婆

 円台寺(えんだいじ)(熊本県熊本市植木町円台寺)

   在銘笠塔婆では、同所にある建久四年(1193)銘笠塔婆に次ぐ、第三位の古さを誇る笠塔婆で、建久七年(1196)の銘がある。

円台寺(えんだいじ)笠塔婆(県指定文化財、鎌倉時代前期 建久七年 1196年、凝灰岩、高さ 110Cm)

笠塔婆は、別物の笠と請花・宝珠を載せている。塔身は、上方各面に月輪を線刻し、四仏の種子を薬研彫する。塔身に朱が残っている。

笠・請花・宝珠(後補)

塔身正面、月輪内に金剛界大日の種子「バン」を刻む 塔身正面、下方の刻銘

塔身正面、下方の刻銘 (種子「バン」の下)

刻銘:「學法房僧・・・・四十八」、「建久七年(1196)二月廿二日入滅」、「同年(1196)三月廿六日造立之」

建久七年二月二十二日に亡くなった僧侶の為、建久七年(1196)三月二十六日にこの笠塔婆を造立した。

塔身上方 背面

月輪内に胎蔵界大日如来の種子「ア」を薬研彫する。

線刻の月輪内に宝生如来の種子「タラーク」を薬研彫する。 線刻の月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。

塔身上方 (側面)

種子の部分は、上下に横線を引き、内側を黒色で着色する。

在銘最古の本光寺笠塔婆から第二位・第三位の円台寺笠塔婆までが、熊本市に集中しているのは興味深い。

円台寺(えんだいじ)笠塔婆(県指定文化財、鎌倉時代前期)

本笠塔婆は、建久四年銘 笠塔婆とやや離れて立っており、周りには数基の板碑や小石仏が置かれている。

 本光寺(ほんこうじ)笠塔婆                              石仏と石塔-目次!

円台寺(えんだいじ)笠塔婆 案内板

 笠塔婆(かさとうば)

*JR 鹿児島本線 植木駅前から産交バス 植木町役場もしくは玉名駅行きに乗車、「円台寺バス停」下車、西方向へ 約200mの場所に円台寺があり、さらに西方向へ行くと、案内板がある。二基の笠塔婆は、その案内板から約50m、果樹園のビニールハウス内に立っている。

(撮影:平成24年1月27日)