円台寺(えんだいじ)建久四年銘 笠塔婆

 円台寺(えんだいじ)(熊本県熊本市植木町円台寺)

   在銘笠塔婆では、本光寺笠塔婆( 安元元年:1175年)に次ぐ第二位の笠塔婆で、建久四年(1193)の銘がある。現在、塔身だけが残っている。

円台寺(えんだいじ)笠塔婆(県指定文化財、鎌倉時代前期 建久四年 1193年、凝灰岩、高さ 88Cm)

笠塔婆は、頂部に方形の枘(ほぞ)が作られ、全体に朱が残る。塔身は、上方に胎蔵界四仏の種子を蓮華座上月輪内に薬研彫する。

塔身上方 (正面)

蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子「アー(開敷華王)」を薬研彫する。

塔身側面、蓮華座上月輪内に無量寿の種子「アン」を刻む 塔身背面、蓮華座上月輪内に天鼓雷音の種子「アク」を刻む

笠塔婆は 種子の下で折れ、荒い修理が施されている。

塔身上方 (側面)

蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子「ア(宝幢如来)」を薬研彫する。

塔身下方の銘文 (種子「ア」の下)

銘文:「奉造立笠塔婆一基」「右為珎朗尊霊往生極楽、造立如件、但生年十五歳、建久三年十二月廿八日寅時入滅」

「建久四年(1193)、歳時、癸丑、二月十五日、日次、壬子

建久三年十二月二十八日に十五歳で亡くなった珎朗の霊を弔う為、建久四年(1193)二月十五日にこの笠塔婆を造立した。

我国最古の本光寺笠塔婆にも、最後に造立日の干支が刻まれおり、大隅国分寺層塔(康治元年:1142年) 等 古いものに多い。

基 礎

塔身の下端に枘(ほぞ)があり、これを受ける。基礎の背は低い。

 円台寺(えんだいじ)建久七年銘 笠塔婆                     石仏と石塔-目次!

円台寺(えんだいじ)笠塔婆(県指定文化財、鎌倉時代前期)

笠塔婆は、果樹園のビニールハウス内に立っている。今回、花入れが置かれている面を正面とした。

 笠塔婆(かさとうば)

*JR 鹿児島本線 植木駅前から産交バス 植木町役場もしくは玉名駅行きに乗車、「円台寺バス停」下車、西方向へ 約200mの場所に円台寺があり、さらに西方向へ行くと、案内板がある。笠塔婆は、その案内板から約50m、果樹園のビニールハウス内に立っている。

(撮影:平成24年1月27日)