城泉寺（じょうせんじ）（明導寺）九重石塔

　城泉寺（じょうせんじ）（明導寺）九重石塔（熊本県球磨郡湯前町瀬戸口区）

　　城泉寺関係の石塔は、鎌倉時代前期寛喜二年（1230）銘が三基あり、その中で最古。城泉寺には二基残り、残る一基は八代市の米家にある。

城泉寺（じょうせんじ）九重石塔（重要文化財、鎌倉時代前期寛喜二年 1230年、凝灰岩、高さ 445Cm）


		初層軸部正面、二重円光背を彫りくぼめ定印阿弥陀坐像を半肉彫りする

重文の阿弥陀堂に対面して、向かって右側に立っている		初層軸部側面、二重円光背を彫りくぼめ定印阿弥陀坐像を半肉彫りする

初層軸部は、四面とも二重円光背を彫りくぼめ、内に蓮華座上に坐す定印阿弥陀像を半肉彫りする。軸部正面、阿弥陀坐像の左右に銘文が刻まれている。

初層屋根

軒は緩く反り、軒下は二重の垂木型、軒先に隅木を刻出する。


初層軸部背面、二重円光背を彫りくぼめ定印阿弥陀坐像を半肉彫りする

初層軸部側面、二重円光背を彫りくぼめ定印阿弥陀坐像を半肉彫りする		屋根と軸部を別石で積重ね、その逓減率は守られている

現在、石塔の所有者は明導寺（みょうどうじ）（湯前町上里1955）で、管理は湯前町（ゆのまえまち）が行っている。

初層軸部正面

軸部は、横幅が広く安定感があり、正面の阿弥陀坐像の左右に銘文を刻む。

銘文：「奉造立九重石塔一基、右志者為浄心往生極楽也、寛喜二年（1230）、庚刁（寅）、九月廿三日」

「大檀那沙弥浄心、大工兼仏師幸西、小工栄幸、院主念西」

浄心の極楽往生を願って、自らが大檀那となってこの九重石塔を寛喜二年（1230）に造立した。大工兼仏師の幸西と弟子の栄幸の名も刻まれている。


初層軸部正面、阿弥陀坐像の向かって左側刻銘		初層軸部正面、阿弥陀坐像の向かって右側刻銘

右側刻銘：「奉造立九重石塔一基、右志者為浄心往生極楽也、寛喜二年（1230）、庚刁（寅）、九月廿三日」

左側刻銘：「大檀那沙弥浄心、大工兼仏師幸西、小工栄幸、院主念西」

基　礎

自然石の基壇上に、高さ 16Cm、横幅・奥行き 98Cmの低い方形基礎を載せる。基礎は、一枚石。


八層目屋根・露盤は後補、相輪は当初のもので上部を欠失する		軸部の四面には各層とも、定印の阿弥陀坐像が刻まれている